「現実とデジタルがなめらかに融合する世界が到来」–アクセンチュアが技術トレンドを定義

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 アクセンチュアは7月19日、同社が3月に発表した世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2023」についての説明会を開催した。今回は「アトムとビットが出会う時 – 新たな現実世界の礎を築く(When Atoms Meet Bits: The Foundations of Our New Reality)」をテーマに、現実とデジタルの融合を促す4つの技術トレンドを解説した。

 調査は、2022年12月から2023年1月の間に実施。日本を含む世界34カ国、25の業界にわたる4777人の上級役職者や役員を対象に行われた。

 アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェア エンジニアリングサービス グループ共同日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏は、「技術の進化が加速する中で、“現実世界とデジタルを行き来する世界”から一歩進んで、“現実世界とデジタルがなめらかに融合する世界”が到来した」と言及。現実世界とデジタルの「なめらかな融合」を実現する事例として同氏は複合現実(MR)ヘッドセット「Apple Vision Pro」を挙げた。

 これまでの「なめらかではない世界」は、量・質ともに制限された入力データで、局所的なデジタルツインに過ぎなかった。そのため、提供できる顧客体験(CX)は「十人十色」のパーソナライゼーションで、一方的な情報提供に限られていた。しかし「なめらかな世界」では、あらゆるデータや情報がデジタルツインとして存在し、それが現実世界と融合し、これによって「一人十色」のCXが実現できると考えているという。

 そこで同氏は、現実世界とデジタルが「なめらかに融合する世界」を支える4つのテクノロジートレンドとして、「デジタルアイデンティティー(Digital identity)」「私たちのデータ(Your data, my data, our data)」「一般化するAI(Generative AI)」「フロンティアの果てへ(Our forever frontier)」を定義した。

 「デジタルアイデンティティー」では、「デジタルID活用の成功が、ビジネスの成功に直結する。これは古くて新しいテーマだと感じている」同氏は説く。同レポートによると、全世界で85%の経営幹部はデジタルIDを技術的課題としてではなく、「ビジネスで必ず考慮すべき課題である」と回答する一方、76%の経営幹部が顧客の身元認証に関する問題によって「収益に問題が発生している」と回答しており、ID活用に課題を感じる企業は少なくないという結果が出た。

 これまでのIDは、サービス主導のIDだったため、一人が複数のIDを持つことにより、ID単位で情報が分断されていた。これからは、ユーザー起点のID生成が重要だという。これは、一人に対して一つのIDを生成し、IDの所有権をユーザーに戻すということ。この先進事例として同氏はインドのデジタルID基盤「India Stack」を紹介した。

 インドでは、約14億人のうち約4億人がIDを持っていない、あるいは国民の17%が銀行口座を保有していない状況だった。しかし、生活や仕事に必要な金融サービスを全国民に提供するためにIndia Stackを構築したという。

  India Stackは「Identity Layer」「Payments Layer」「Data Layer」の3層によって構築され、さまざまなサービスを提供している。Identity Layerに属する14億人分の本人確認済みID「Adahaar(アダール)」はIndia Stackの基盤になるもので、生態情報にひも付く12桁のIDを国民に発行し、公共サービスや金融サービスに利用できる。Adahaarの登録者数は2022年時点で約13億5000万人。インドのスタートアップ企業の約84%がAPI経由でAdahaarを利用し、自社のサービスを提供しているという。

 次に同氏は「私たちのデータ」のキーワードとして「透明性」を挙げた。データを独占することが競争優位につながる時代から、データを共有することが競争優位につながる時代に移行しているという。「データを透明な状態に置くことが、価値創出の源泉になる。これにはAPIによるデータ公開戦略が必要だ」と説明。

 ここでは、アクセンチュアと福島県会津若松市の会津産業ネットワークフォーラムが取り組む経営プラットフォーム「Connected Manufacturing Enterprises」(CMEs)を例に挙げた。これは、製造業標準の業務システム基盤パッケージ(SAP)を会員企業で共同利用する。これにより、定型業務を同一のプラットフォーム上で共通化することで、導入や利用コストの削減、浮いたコストを自社独自のデジタル化に活用できるとしている。

 「これまでは企業が中心となり、消費者や社会のデータを独占した独占的な『三方良し』だったが、これからはAPIによって顧客や社会を主語に据えた『三方良し』に転換する時代が来ている」と同氏は説明。企業を中心とした従来型では、各社にデータが独占されていたため、社会課題の解決は個社で対応できるスケールに限定されていた。しかし、データの主権を消費者に据え、企業や社会の間で活用することで、難易度の高い社会課題の解決に寄与できるとしている。

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