国内企業のIT投資は増加基調、DXに“停滞感”も–ITR調査
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アイ・ティ・アール(ITR)は11月20日、国内企業を対象に実施している年次調査の最新版「国内IT投資動向調査2024」の結果を発表した。それによると、国内企業のIT投資は増加基調にありDX動向では、働き方改革など社内向け施策から収益拡大に向けた施策に比重を変える様子が見え始めているという。
この調査は2001年から実施され、23回目となる。国内企業のIT戦略やIT投資などの意思決定に関与する役職を対象に、8月18日~9月1日にウェブフォームで質問を行い、2259件の有効回答を得た。同日のメディア向け説明会では、調査などを担当したプリンシパル・アナリストの三浦竜樹氏、シニア・アナリストの水野慎也氏、シニア・アナリストの入谷光浩氏が、調査結果を解説しながら、国内企業のIT施策やIT市場動向などについて見解を紹介した。
まずIT投資動向では、2023年度にIT予算を増加した企業が44%で、前年調査から3ポイント増加し、2年連続で最高値を更新した。2024年度予想も1ポイント増の45%だった。また、予算の増減傾向を独自に指標化した「IT投資インデックス」は、2023年度実績が3.69と3年連続で増加し、過去最高だった2006年度の3.88に近い結果だった。2024年度予想も3.60と3年連続で増加した。
業種別では、建設・不動産の2023年度実績が2.79、2024年度予想では3.41と高い伸びを見せる。一方で、製造は2023年度実績が4.14、2024年度予想では3.52に減少した。三浦氏によれば、同調査では例年、金融・保険と情報通信の2業種で高い値になり、2業種とも2023年度実績より2024年度予想が高い。
建設・不動産の高い伸びについて水野氏は、「人材不足や資材の高騰などの課題にIT化で対応する様子がある」と解説し、製造での減少について三浦氏は、「IoTやエッジコンピューティングなど新規施策への先行投資が一段落しているのではないか」と分析した。
また、売上高に対するIT予算の定常費用と新規投資の割合の経年変化は、2023年度では前年比0.2%増の2.9%と微増した。
次にIT戦略動向では、最重要課題の上位10項目については前年調査と同一になり、上位3つは「売り上げ増大への直接的な貢献」「業務コストの削減」「顧客サービスの質的な向上」だった。他方で、前年調査で15位だった「IT部門スタッフの人材育成」が11位に、同18位だった「内部統制や法令順守への対応」が16位に上昇した。