企業間取引管理の負荷を軽減–ブラックラインに聞く課題とソリューション
今回は「企業間取引管理の負荷を軽減–ブラックラインに聞く課題とソリューション」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、トップインタビュー等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
多国籍企業において、同じ企業グループに属する法人間の経理取引を管理する会社間取引管理は、経理財務リソースに大きな負担をかけているという。BlackLineでインターカンパニーソリューション事業の成長戦略と実行責任者であるKivanc Pakel氏に会社間取引管理の課題と同社のソリューションについて話を聞いた。
会社間取引は、「積極的合併・買収(M&A)や海外直接投資」「新税制対応」「グローバル化」といった世界経済の動向を背景とし、企業にとって一層重要となっているとPakel氏。経済協力開発機構(OECD)によると、会社間取引は国際貿易の80%をけん引しているという。
一方、企業は、異なる法令が適用される地域をまたいで多くの取引が会社間で発生する「企業グループ構造の複雑性」、統合基幹業務システム(ERP)や他のシステムが互いに連携しておらずデータの透明性が欠如し業務効率が低下する「複雑で絡み合ったシステム構造」、会社間プロセスに多くのチームが関与し、経理、税務、財務プランニングと分析(FP&A)、財務にまたがる業務範囲による「オーナーシップの欠落」という課題を抱える。
企業間取引は、複数の企業のさまざまな部門が関わり、異なるシステムを通じて進められるため複雑化する。また、各部門で個別最適された異なる視点とプロセスで対処されるためにサイロ化しやすく、業務効率化の妨げとなる。このようなことから、全体に最適化された一貫性のあるエンドツーエンドのプロセスを設計し、全部署で活用する必要があるとPakel氏は言う。
BlackLineの会社間取引管理ソリューションは、データの一元化を可能にするため、会社間取引に関わる全ての部門が共通の正確なデータを参照し、効果的な仕事ができるようになると同氏は語る。プロセスが効率的になることにより、経理・財務部門の生産性や税務上の可視性、会計上の予見性の向上といったビジネス上の効果が期待されるという。
ある保険業界の大手企業では、「標準化されていない請求プロセスを抱える4つのシェアードサービスセンター(SSC)」「手作業による会社間の請求処理の結果、多くの差異が発生」「会社間取引における有効なポリシーの整備と運用の欠如」という課題があった。BlackLineの会社間取引管理ソリューションの導入により、「会社間取引作成機能によるプロセスの一元化」「会社間の請求ルートの整備と処理の自動化」「税務戦略に基づいた会社間の請求ルートの整備」を実現した。その結果、会社間取引に携わる人員の45%を削減、税務に最適化された請求ルートにより損金算入率の向上、600万ドルの付加価値税漏れの防止といった効果があったという。
BlackLineでは、顧客を支援する際、既存プロセスを基にしてプロセスを変革・再デザインするという。「プロセスデザインとわれわれの企業間取引管理ソリューションを組み合わせることで、最高レベルの企業間取引プロセスを届ける」とPakel氏は力を込める。
同社の企業間取引管理ソリューションは、「請求ルート」「アクティビティー種別」「税務コンプライアンス」「グローバル会社間補助元帳」を主要な特徴とする。
請求ルートは、買い手と売り手の取引関係とデータ要素を体系化する。アクティビティー種別は、売り手から買い手に提供されるサービスの性質を構造化して定義し、100種類をプリセットすることで迅速な利用開始を可能にする。税務コンプライアンスは、グローバル、地域、企業固有の規制に基づき、80カ国以上にわたる税務ルールとロジックを一元的にコード化する。グローバル会社間補助元帳は、構造化、充実化、一元化された会社間データで、全関係者のアクセスを可能にすることで効率化を実現する。
機能としては「取引作成」「照合と差異解消」「ネッティング&決済」を備える。
取引作成は、営業取引と営業外取引の作成、複数のERPを超えた取引の作成、動的に移転価格や間接税の適用、会社間配賦や例外取引について異なるERPへの同時起票ができる。照合と差異解消は、差異の検出と連結前の照合、検出した差異の解消、会社間差異解消のガバナンス強化を可能にする。ネッティング&決済では、未消込債権債務の消込、会社レベルでのキャッシュレポートなどに対応する。
このようなエンドツーエンドの会社間取引管理アーキテクチャーがあることで、AI機能「会社間予測ガイダンス」を開発できたとPakel氏はアピールする。グローバルでは2023年9月に発表された同機能は、入力データ内のエラーを検知して修正を提案する。仕訳が計上される前にAIによる予測ガイダンスを提供し、異常値やその他の正常でないトランザクションを特定することができる。
企業間取引管理は、多くの時間と労力が通常必要とされるため、業務をこなすだけで精いっぱいで、そこから十分な洞察を得るのは難しい。BlackLineのソリューションを導入することで、全く違った視点で作業を捉え直すことができるとPakel氏。
自動化機能は、業務負荷を大幅に軽減するので、企業間取引データを用いた洞察を可能にする。組織のどこに最適化の余地があるのかも履歴データに基づいて示せる一方で、財務、税務、コストベースなどの将来的な見通しを可能にし、企業間取引に関わる組織構造全体の計画を立てられるようにもするという。
このように、BlackLineの会社間取引管理ソリューションは、業務の効率化やコストに対する生産性の向上、会社間取引に関する税務における可視性やデータに基づいた予見性の提供、会計上の評価損を削減することなどによる利益率の向上、支払いと為替リスクの削減やキャッシュマネジメントを改善するために決済の迅速化といった価値を提供する。
「われわれの企業間取引管理ソリューションを活用することで、企業は、顧客やサプライチェーンへの対応に向けて時間をより使うことができるようになる」とPakel氏はコメントした。