IoTプロジェクトでの最優先課題は「専門人材の育成」–ソラコム調査
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ソラコムは、2024年版の「IoTプロジェクトの成功と推進の課題に関する実態調査」の結果を発表した。
この調査では、IoTプロジェクトを進める上での課題について調査対象企業の担当者に尋ねている。それによると、全体回答のトップは「専門人材の育成」(26.6%)だった。次いで、「ベンダーコントロールが難しい」(25.3%)、「IoTシステム開発の全体像が分からない」(23.4%)となっている。
調査は1月25~27日にインターネットリサーチで実施され、上場企業の経営者、役員、会社員158人から回答を得た。対象者は、事前のスクリーニングで、現在または直近3年以内に、何らかのIoTを活用するための「IoTプロジェクト」(概念実証のみも含む)に関わったことがある。
なお、IoTプロジェクトがうまくいった(うまくいっている)と思うかという問いに、「はい」と答えたのは63.3%、「いいえ」が24.1%だった。また、「分からない」と回答したのは12.7%だった。調査では「(IoTプロジェクト)成功企業」が100社、「難航企業」が38社だったとしている。
IoTプロジェクトを進める上での課題について、難航企業の回答に注目すると、「IoTシステム開発の全体像が分からない」が34.2%と最も高く、成功企業に比べ12.2ポイント高い結果となった。そのほかに難航企業では、「センサーやデバイスの選び方が分からない」「モノからデータを取得する方法が分からない」など、従来型の業務システムなどにはないハードウェアや通信の技術で難しさを感じていることが判明した。
IoTプロジェクト実施時については、回答者の77.9%が「当該部門と他部署のメンバーなど社内人材のみで構成されたチームでスタートした」とした。外部の専門家やベンダーなどのリソースを活用しているプロジェクトチームは合計で22.2%にとどまった。
IoTプロジェクトが開始されたきっかけについては、「DXやデジタル活用の専門部署からの指示」(44.9%)が最多だった。約9割のプロジェクトが経営層や他部署からの指示によって開始されており、現場などからボトムアップで開始するケースは1割にも満たないことが分かった。
難航企業の回答では、「情報システム部からの指示」の割合が成功企業よりも21.5ポイント高くなっている一方で、成功企業は、難航企業に比べ「経営層からの指示」「現場からの要望」が高かった。この結果についてソラコムは、プロジェクト成功の要素として、経営層のコミットメントや現場主導のスモールスタートの重要性が示唆されるとしている。
さらに「2021年1月~2022年12月の間に着手したプロジェクト」と「2023年以降に着手したプロジェクト」で、それぞれの期間におけるIoTプロジェクトの目的を聞いたところ、3年前の回答の上位3つは、「効率化・業務改善」(27.8%)、「オペレーションの全体最適化」(24.1%)、「人材育成・組織強化」(22.8%)だった。一方、2023年以降に着手したプロジェクトの上位3つは、「オペレーションの全体最適化」(24.7%)、「データに基づく経営の意思決定」(22.8%)、「効率化・業務改善」(22.2%)となっている。