Colt、東南アジア6カ国で事業を拡大–包括的なネットワークサービスを提供

今回は「Colt、東南アジア6カ国で事業を拡大–包括的なネットワークサービスを提供」についてご紹介します。

関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 英国に本拠を置くColt Technology Servicesの日本法人Coltテクノロジーサービスは6月5日、東南アジア諸国における事業拡大に関する記者説明会を開催した。

 事業拡大を計画しているのは、フィリピン、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアの6カ国。新たなパートナーとの非独占的な戦略的提携によって、同地域における顧客企業や、これから同地域に進出する日本企業、およびそのほかのグローバル企業のビジネス拡大に寄与する。

 具体的な戦略としては、(1)戦略的パートナーとの提携による大幅なコスト削減により、顧客企業のSD-WAN導入に関する要件を満たし、市場におけるネットワークのクラウド化を促進するIPアクセスサービスとイーサネットの価格競争力の強化、(2)現在地の地域で提供しているOn-Net(自社ファイバーによる)SLAと同等のサービス提供、(3)全般的な営業サイクルの見直しによる顧客体験の効率化と向上、サービス提供の早期化、戦略的な営業機会への直接の参画とサービス運営上の戦略的パートナーとの連携――の3項目を進めるという。

 今回の事業拡大は、Colt Technology Servicesが今後3年間でアジア太平洋地域(APAC)において予定している総額1億ユーロ(約168億円)の一部を担う。この投資金額の内容としては、香港とシンガポールを含めた東南アジア全体でのネットワーク構築や人材の採用などを含むという。

 同社のアジアへの事業拡大は、1999年に日本でKVHを設立し、アジア事業を開始したことから始まる。2014年にはKVHをColtに統合し、以来APACへの投資を続けてきた。2016年には、シンガポールおよび香港においてメトロエリアネットワークの敷設・サービスを開始し、ネットワークの拡大を行っている。

 また同社は、米国に本拠を置くLumen Technologiesの欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)事業を2023年に買収、およびパートナーシップ契約を締結し、EMEAにおけるビジネスの拡大をしてきた。EMEA事業の買収によって、34カ国125都市を結ぶ163万キロメートルのファイバーや、23カ国と中東に広がる1万1000キロメートルのメトロエリアネットワークの展開などを可能にしたという。

 説明会に登壇した、Colt Technology Services 最高事業責任者(CCO)のAnnette Murphy(アネット・マーフィー)氏は、同社のグローバル戦略の強みについて「さまざまな地域において長年にわたり事業を展開してきたものが基盤となっている。現在、グローバルでは6000人、そのうちAPACには500人の従業員がいる。また、各市場におけるローカルマーケットや規制に精通した従業員が顧客企業をサポートしており、サービスデリバリー、サービス運用、現地の言語対応、文化の理解についても持ち合わせている」と説明した。

 また、フランス・ドイツ・英国に本拠を置く企業はAPACにさまざまな拠点を持つ一方で、香港・シンガポール・日本を本拠とする企業は、EMEA地域における拠点を多く持っているという。同氏はグローバルにおける展開について、「Coltとしては、品質の高いサービスを各地域の顧客にグローバルで提供する必要がある」と話す。

 続いてColt Technology Services アジア太平洋地域社長の水谷安孝氏が、アジア成長戦略の詳細を説明した。同氏は始めにマーケットの状況として、生成AIによってネットワーク需要が加速していることを指摘。クラウド事業者や法人のユーザーからの生成AIに対する関心が大きく膨らんでいるという。これにより、「データセンター間の接続」「閉鎖網オフィス接続」「インターネット接続」の需要が伸びるとしている。

 データセンター間の接続においては、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Google、Oracleなどのクラウド事業者が日本市場に巨額の投資を発表していることを挙げ、「日本はクラウドを使い、イノベーションを起こす考えを持つ企業が多い。これを踏まえ、クラウド事業者が参入する動きが多く見られ、そうすることで、データセンターを複数設置する、または既存のデータセンターをつなげる需要が伸びている」という。

 一方で、日本企業のユーザーは、クラウドにつなげて生成AIを利用していることから、特にデータの漏えい防止やセキュリティ対策として、閉域網やセキュリティの高い状況下でクラウドに接続し、自社のデータ分析を行っているという。インターネット接続では、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、クラウドやウェブ会議システムにつなげるためにインターネット経由で接続するユーザーが増加している。

 現在、Coltは世界275カ所以上で主要なクラウドへの接続口を用意している。Coltがグローバルにネットワークを提供することで、グローバルに展開する顧客は一つの契約、そして1カ所の問い合わせ窓口で対応ができる。

 今回の東南アジアにおけるネットワーク/ビジネス拡張の背景について水谷氏は、「日本の製造業やサービス業などが東南アジアに展開する中で、今までの中東・アフリカ・欧州・北米のカバーに加えて東南アジアも包括的にサービスが提供できるようになれば、日本企業がグローバルに展開しやすくなるのではないか」と語る。

 これにより日本企業は、包括的なグローバル対応や各地域の商習慣を理解した上で事業を展開できるとしている。また、地域ごとのサービスレベルを可能な限り標準化することで、グローバルネットワークの管理をより簡素化する。そして、戦略的なパートナーの規模の経済を活用することで、用途に合わせた柔軟な価格設定を実現するという。

 東南アジアの市場規模においては、本社の拠点が欧州または米国、日本、国際的に展開する企業のうち、シンガポールまたは香港にヘッドクォーター(HQ)を持つ最適顧客は約3750社。さらに、該当する企業が、Coltが提供するネットワークに対して予算をいくら使っているのかをAIで分析したところ、22億600万ユーロ(約3706億円)の市場規模になることが明らかとなった。

 今後、同社はAPACにおける複数のパートナーとの連携を深めながら、顧客満足度を高めるサービス提供により、市場の拡大を図る予定だ。

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