ミスミ、機械部品調達「meviy」でAI図面データ検索・共有機能を無償提供
今回は「ミスミ、機械部品調達「meviy」でAI図面データ検索・共有機能を無償提供」についてご紹介します。
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ミスミグループ本社は、機械部品調達サービス「meviy」で、AIを用いた図面データの検索や共有できる新機能「meviy Finder」を8月から順次提供すると発表した。無償で利用できる。
meviy Finderでは、ユーザーが2D(二次元)の図面データをアップロードすると、AIが図面情報を認識、解析し、図面番号や部品名、材質、処理方法、外形サイズ、公差といった項目に構造化分類して、自動的に登録する。ユーザーは、キーワードから探したい図面データを検索できるほか、同社が保有する膨大な商品や図面などの情報からユーザーの探したい図面に類似するデータをAIで提示し、類似度をパーセンテージで示してくれる。
また、図面データを研究開発や設計、購買、生産管理といった各担当者の間で共有でき、それぞれでの業務効率化などに活用できるとする。今後は3D(三次元)の図面データへの対応や、meviyの見積もり機能と連携して短納期の発注~納品もできるようにしていくという。
meviy Finderの発表会に登壇した常務執行役員 ID企業体社長の吉田光伸氏は、CAD(コンピューター支援設計)やCAE(コンピューター支援エンジニアリング)で部品図面などをデータ化しているものの、部品調達時では紙図面にしてファクシミリなどにより発注を行っている現状があり、生産性向上のボトルネックになっていると指摘した。また、過去の図面の多くが紙の状態で保管され手作業で探さなくてはならないなど、meviy Finderはこうした調達にまつわる課題の解決や生産性向上へ貢献するために提供すると説明した。
吉田氏は、「meviyでは即時見積もりや最短1日での出荷により、製造業における時間を創出することが最大の提供価値だと考えている」と述べる。同社はmeviyの本格的な提供を2019年に開始し、同氏はmeviyが機械部品の作図や見積もり、部品表作成、図面の検査やばらし、相見積もりといった工程の所要時間や工数の大幅な削減を実現したと強調。今回のmeviy Finderは、過去図面の検索や類似情報の検索、図面共有という残された課題に対応する機能との位置付けになる。
同社では、AIによるmeviyの強化を推進している。ID企業体 meviy Lab ジェネラルマネージャーの芝田篤史氏によれば、同社は以前から米カーネギーメロン大学と図面データにおけるAI技術の研究開発を共同で行ってきたという。この取り組みでは、同社が持つ800垓(1兆の800億倍)点もの商品情報をAIの教師データに用いてさまざまなアルゴリズムを開発しており、meviyでの自動見積もりや2023年6月に開始した2D図面データの自動認識にAIを適用している。
芝田氏は、AIの学習に同社のデータを利用している一方、ユーザーデータは一切使用せず、厳格なアクセス制御の実施など強固なセキュリティ対策を講じて、ユーザーの安全性を確保しているとも説明した。
発表会で吉田氏は、直近のmeviyのビジネス状況も説明。国内で16万ユーザー、のべ2500万件の利用に達したとし、2023年度は中国と韓国でもサービス提供を開始したほか、2024年5月にはデンソーがAGV(自動搬送車)の試作だけでなく量産までのプロセスにmeviyを採用することを発表し、吉田氏はmeviyのユーザーの利用目的が拡大したと強調する。また、国内の大学や高等専門学校の約3割がmeviyの教育機関向けプログラムを採用したという。
同社は、2024年3月期決算でmeviyの業績を開示しており、売上高は2023年3月期の93億円から2024年3月期は116億円に増収となり、FA(ファクトリーオートメーション)事業に占める割合も7.8%から10.4%に拡大した。
吉田氏は、「FA事業全体の売り上げ(2024年3月期は1182億円)に対してmeviyは1割程度だが、(本格提供を開始した2019年からの)5年間で100億円の成長スピードを達成した企業は非常に少ない。大半がM&A(合併・買収)で実現する中、われわれは自社サービス(meviy)で実現している」と語った。
(お詫び:初出時に名称記載の一部に誤りがあり修正しました。また試算時間に関する記載に不明瞭な内容があり修正いたしました。読者、関係者の皆さまにお詫びいたします。)