[速報].NET 9が正式リリース。ガベージコレクションの改良でより高速かつ省メモリに、可観測性を実現する.NET Aspire、AIツールのためのミドルウェアなど登場
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マイクロソフトは日本時間の11月13日未明からオンラインイベント「.NET Conf 2024」を開催し、同社の包括的なアプリケーションフレームワークの最新版となる「.NET 9」正式版のリリースを発表しました。
.NETは、デスクトップからモバイル、クラウド、ゲーム、IoT、そしてWindows、Linux、macOSなど、あらゆるプラットフォームに対応したアプリケーションの開発を包括的にカバーするフレームワークです。
.NETの大きな枠組みの中に、プログラミング言語のC#やコンパイラ、ランタイム、そしてクロスプラットフォーム対応のUIフレームワーク.NET MAUIやWebアプリケーションフレームワークのBlazorなどが含まれています。
.NETは偶数バージョンがLTS(Long Term Support:長期サポート)版となり、現時点では昨年(2023年)11月にリリースされた.NET 8が最新のLTS版です。
.NET 9は奇数バージョンとなるため、長期サポートは行われません。次のLTS版は来年登場する.NET 10の予定ですので、長期で安定していることが望ましい業務アプリケーションなどでの利用では引き続き.NET 8を使うことをお勧めします。
ガベージコレクションの改良により高速で省メモリに
.NET 9の主な強化点を紹介しましょう。
.NET 9ではガベージコレクション機能が改良されました。これまでは実行環境における利用可能なメモリとCPUのリソースに適応するように動作してましたが、それをアプリケーションが要求するメモリに適応するようになりました。
下記はサーバ環境でのベンチマークテストです。.NET 9では性能が15%向上し、メモリ使用量が93%も激減していることが示されました。
.NET 8で有効になったDynamic PGO(動的なプロファイルのガイドによる最適化)、すなわち実行中のアプリケーションのプロファイルを基にしてコンパイルを最適に行う処理が拡張され、より多くのパターンをプロファイルできるようになったことによる型チェックの高速化などが実現されました。
.NET Aspireが.NET 9の一員としてアップデート
アプリケーションの可観測性を実現するフレームワークとなる「.NET Aspire」も.NET 9の一員となり、アップデートが行われました。
.NET Aspireのテンプレートやライブラリを利用することで、メトリクスやログの収集、分散トレース、メトリクスを一覧するデベロッパーダッシュボードなどを容易に実装できるようになります。
AIサービスを抽象化するミドルウェアも
大規模言語モデルや小規模言語モデル、エンベッディング、ベクターストア、ミドルウェアなどの各種AIツールやサービスを抽象化し、.NETアプリケーションから共通のAPIで連係可能にするミドルウェア「Microsoft.Extensions.AI」も導入されました。
これにより.NETアプリケーションに対応するAI関連サービスのエコシステムが活発化することが期待されています。
そのほか.NET 9の情報はマイクロソフトのブログ「Announcing .NET 9 – .NET Blog」をご参照ください。