アクセンチュアが新体制、AIによる「デジタルツイン企業」への変革にも注力
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アクセンチュアは12月4日、新たな経営体制および重点領域と位置付けるデータおよびAIに関する取り組みついてメディア向けの説明会を開催した。AIを活用した「デジタルツインエンタープライズ」への変革に向けて全社的に推進するという。
同社では、9月に代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)の江川昌史氏が、Accenture アジア太平洋地域の共同CEOに就任(兼務)した。これに伴い日本法人では、江川氏および最高執行責任者(COO)の立花良範氏とテクノロジーコンサルティング本部 統括本部長の土居高廣氏が代表取締役 副社長を務める経営体制となった。
説明会で江川氏は、グローバルおよび日本でビジネスの堅実な成長を持続しているとしたほか、日本で特に注力する地方創生では、2011年の東日本大震災からの復興支援として開始した福島県会津若松市での活動から全国に広げる。2024年は、6月に宮城県との連携協定によりデータ活用を中心とする「アクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター仙台」、11月にはAIを中核とする「アクセンチュア・アドバンスト・AIセンター京都」をそれぞれ開設。重点領域とするデータおよびAIの取り組みを進めているとした。
現在、日本のビジネスは、「ビジネスコンサルティング」「ソング(顧客接点の変革支援)」「テクノロジー」「オペレーション」「インダストリーX(業界別の変革支援)」の5つを中心として、顧客業界ごとにコンサルティングやサービスを展開する。江川氏によれば、5年ほど前より顧客からの変革支援の要請が全社的な規模かつ短期化し、これに生成AIが加味されたことで、その傾向がより強まっているなどと述べた。そこで、データとAIや生成AIの活用により、企業顧客の全社的な変革を一気通貫で支援する「Total Enterprise Re-Invention(企業全体の再発明)」を掲げている。
江川氏は、変革の姿として「デジタルツインエンタープライズ」を提示した。デジタルツインは、IT業界では、現実空間を精緻に再現したサイバー空間上でシミュレーションなどさまざまな取り組みを行いその成果などを現実空間に反映する概念として知られる。江川氏の示す「デジタルツインエンタープライズ」では、生成AIが従業員などの個人の仕事を支援する「AIエージェント」として活用され、さらに、社内外のさまざまなAIエージェントが連携することによって、ビジネスプロセス全体が自動化させれていく概念になるという。
例えばメーカーでは、営業を担当するAIエージェントが顧客企業のAIエージェントから受注し、受注内容が生産管理部門のAIエージェントに伝達されて生産計画が登録され、それを基に購買/調達部門のAIエージェントがサプライヤーに資材などを発注する。このプロセスをAIエージェントが自動的に実行するイメージだ。
江川氏は、生成AIの出現により個人の“分身”となるAIエージェントが個人の業務遂行を支援する時代が到来し、技術的には複数のAIエージェントが協働してビジネスプロセスを実行可能な段階だと述べる。同氏は、AIエージェントでビジネスプロセスの半分程度を自動化できるだろうとし、「3年後には当たり前になっているだろう」と語った。
立花氏は、江川氏と共に同社のDXビジネスをけん引し、「デジタル部門の立ち上げから4~5年ほどして、社内のさまざまな部門がデジタルのプロジェクトを実践するようになり、お客さまのDXをご支援できる存在になれたのではないかと自負している。これからは、AIを経営から現場まであらゆる領域に届けられるよう、われわれ自身がデジタルツインエンタープライズとなる」とあいさつした。
また、テクノロジー部門を統括する土居氏は、DXやAIにより変化するIT業界において同社が全方位で顧客に価値を提供していく上で“基礎体力”としてのテクノロジーが不可欠だとコメント。モダンな基幹システム、クラウド、レガシーマイグレーションといった顧客ニーズにテクノロジーで応え、経営層との会話を通じてビジネス価値に貢献するITサービスの提供に尽力していくと表明した。
それでは、デジタルツインエンタープライズはどのような姿なのか。執行役員 データ&AIグループ日本統括 AIセンター長の保科学世氏は、一例としてAIを用いた組織設計のケースを示した。
ここでは、経営やビジネスの多様な情報、現在の組織構成や人員配置、経営計画、重点領域といったことをAIが学習し、新しい組織や機能などをAIが提案する。例えば、経営層は、それを基に意思決定し、人員配置などのさらに詳細な部分をAIの支援で具体化していく。この分析や立案には、経営の方向性などにより異なる複数のAIモデルを用い、多角的な観点から新しい組織パターンを提示するという。
デジタルツインエンタープライズの具現化においては、企業の根幹を支えるITシステムとデータのデジタルツイン化、従業員など人自身のデジタルツイン化の2つ方向性が重要であるとする。執行役員 テクノロジーコンサルティングサービス本部 チーフ テクノロジー アーキテクトの山根圭輔氏は、デジタルツインエンタープライズの全体像を担う「テクノロジーアーキテクト」の存在が不可欠だと指摘し、同社の取り組み状況を説明した。
アクセンチュアでは、「Accenture Data Integration Platform」と呼ぶシステムやプロジェクトにまつわるあらゆるデータを自動的に収集、分析し、その結果を基にテストや品質チェックといったアクションを自動的に実行して、全員が共有するデジタル化されたサービスデリバリーを実践する。
また、全社で人とAIの協働を実現する「ピアワーカープラットフォーム(PWP)」を2023年に全社でリリースし、AIエージェントの「PWPバディ」も限定的に展開中という。既にPWPバディを活用する3300種類以上のAIアプリケーションが社員によって開発され、250種類以上が公開、共有されており、PWPバディは2025年春の全社展開を目指している。
山根氏は、このようなサービスデリバリーの仕方を日本だけでなく、グローバルの各拠点とも連携して展開しているとし、これによってさまざまなAIエージェントが協働するデジタルツインエンタープライズの姿を実現しつつあるとした。デジタルツインエンタープライズに向けては、全体を設計するテクノロジーアーキテクトが全社の10%、アーキテクトによる仕組みや環境の実装を担うセンターオブエクセレンス(CoE)が20%といった人材構成となるべく全社員のスキル育成などにも取り組んでいると紹介した。