第37回:ひとり情シス企業をなくすには39万人が必要に
今回は「第37回:ひとり情シス企業をなくすには39万人が必要に」についてご紹介します。
関連ワード (「ひとり情シス」の本当のところ、運用管理等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「オフコン」とは、オフィスコンピューターと呼ばれる小型コンピューターで、今で言うとビジネスサーバーです。日本では1960年代後半からコンピューターが普及し始め、大手企業では何でもこなせる大型の汎用コンピューター(=メインフレーム)、中堅中小企業では事務処理に特化したオフコンの利用が急速に広がりました。
当時、オフコンの運用に各社はとても苦労しました。多くの導入指南書も出版され、税務経理協会の「オフコン導入計画の立て方」(1983年発行)には、導入担当者について「一人に責任と権限を持たせることにより、責任逃れにならない」などと書かれています。実際に、「ひとり情シス」と「ふたり情シス」を比べると、二人体制の方がセキュリティインシデントの発生率が高いという調査結果もあります。
ひとり情シスの中には、自分と同等のスキルを持ったエンジニアを採用できるのであれば、複数人体制に移行したいと考える方もいるでしょう。しかし、そうした条件に見合った能力を有したエンジニアを採用するのは難しいもので、ある程度のIT予算が確保さえされていれば、ひとり情シス体制で運営する方が楽だと考える声も多いです。また、中堅中小企業では経理・労務・人事を一人で担当するケースも少なくないため、情シスも同様に増員の必要性が理解されないという話も聞きます。
しかしここ数年でITを取り巻く環境は大きく変化しています。新型コロナウイルス感染症によるリモートワーク環境の構築、事業継続計画(BCP)のための社内システムの見直し、働き方改革による残業規制への対応、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるビジネスモデルの変革、情報通信技術(ICT)推進による働く人たちの心理的安全性の向上など、実に多くのことが同時に押し寄せてきています。
ひとり情シス協会では、中堅中小企業におけるひとり情シスの現状を調査するため、従業員数20~500人の企業を対象にした「ひとり情シス実態調査」と「中堅中小企業IT投資動向調査」を実施しました。
2016年に発表された「平成28年経済センサス」によると、この規模の企業は28万1000社存在しています。この数値に2022年1月に発表した調査結果を係数として反映させると、中小企業におけるひとり情シス企業の数は11.5%に当たる2万6800社、中堅企業では26.2%に当たる1万2700社となります。つまり、合計で3万9500社がひとり情シス企業だと推測できます。また、兼任のゼロ情シス企業は、中小企業では75.9%に当たる17万7000社、中堅企業では11.4%に当たる5500社で、合計18万2500社になります。