第4回:企業のDWH、データレイク、MDMにデータ仮想化がもたらす価値とは

今回は「第4回:企業のDWH、データレイク、MDMにデータ仮想化がもたらす価値とは」についてご紹介します。

関連ワード (データ統合の新潮流「データ仮想化」とは、ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 昨今、企業のデータアーキテクチャーは、データを保存、抽出、変換、活用する複数のコンポーネントで構成され、非常に複雑なものになっています。企業がよく抱く疑問として、「きちんと機能するストレージシステムやETL(抽出・変換・ロード)のような適切なデータ統合技術が既にあるのに、なぜデータ仮想化が必要なのか」というものがあります。

 データ仮想化技術と、ETLのような従来のデータ統合技術では、データへのアクセス、また、その統合方法や配信機能が大きく異なります。ETLはソースシステムからデータウェアハウス(DWH)のようなターゲットシステムにデータを複製するものですが、データ仮想化基盤は、基礎となるデータソースの論理的なビューを作成し、結果として得られるデータセットをリアルタイムに利用可能にします。

 過去のデータに基づいて長期的な戦略を練るビジネスユーザーにとって、ETLのような技術は最適なソリューションかもしれません。しかし、ビジネスの運用面を担当する別の領域では、データの活用方法が全く異なります。そこではデータレイテンシー(データの遅延)が発生してはなりません。このような場面では、データ仮想化こそが採用すべきテクノロジーとなります。

 オンプレミスとクラウドの両方のシステムを含む複数のデータベース管理システムを用いて、さまざまな種類のデータを扱うのは煩雑ですが、データ仮想化基盤により、簡単に管理できるようになります。ここでは、データ仮想化技術を用いることで、既にデータレイク、DWH、マスターデータ管理(MDM)システムが導入されているエンタープライズアーキテクチャーに、どのように付加価値が加わるのかを解説します。

 通常、企業は多くの費用と時間をかけてエンタープライズデータウェアハウス(EDW)を構築しています。しかし最近では、ビジネスシナリオが複雑になっているため、従来のEDWのユースケースには当てはまらないプロジェクトが発生することが多くなっています。複雑なユースケースを既存のDWHに無理やり当てはめることもありますが、それでは設計がさらに複雑になるだけです。

 このような状況では、データ仮想化技術で既存システムの機能を拡張、強化することがソリューションの一つとなります。組織内には既にDWHが存在しているものの、レポートやアナリティクス機能を強化するため、ビジネスユーザーが新しいデータソースを追加する必要があるという状況では、データ仮想化基盤がDWHの上に重ねられ、また新しいデータソースにも接続されます。

 レポートツールでは、データ仮想化基盤をデータソースとして使用し、(DWH内の)既存データと新しいデータソースからのデータを組み入れることができます。また、地域別のDWHなど、組織内に複数のDWHがあり、ビジネス上でデータのシングルビューが必要とされる場合にも、データ仮想化基盤を用いることでシングルビューを構築できます。

 データレイクは、非常に大規模なデータのリポジトリーです。通常、データはDWHの定義に関わるような大きな変換やモデリングを経ることなく、元のフォーマットのまま複製されます。データレイクの最大のリスクは、データレイク全体に適用されるガバナンスや一貫したセキュリティ、アクセスコントロールが欠如していることです。

 データレイクでは通常、データの内容や企業のプライバシー、また規制上の責任をほとんど考慮されることなく、データが蓄積されていきます。Gartnerは、ガバナンスの欠如、またデータレイクにあるデータの品質や系統を把握できないことで、企業が価値あるデータを探し出し、再利用する能力を著しく低下させると指摘しています。

 企業は、データ仮想化技術を導入し、共通のアクセスポイントやセキュリティレイヤー、検索/発見機能を実現することで、ガバナンスの効いたデータレイクアーキテクチャーを完成させようとしています。また、データ仮想化技術によって、ビジネスインテリジェンス(BI)ユーザー、ビジネスアナリスト、データサイエンティストなど、幅広いユーザーがデータレイク内でデータを発見、利用できるようになります。

 データ仮想化が多くの企業にもたらす最も重要なメリットは、ガバナンスの効いたデータレイクのデータを一貫性のあるセキュリティモデルの下で公開できることです。データへのアクセスは、論理モデルや物理モデル、また例えば、ブラウザーや外部SQLクエリークライアント、BIツール、統計分析パッケージ、データプレパレーションツールなど、さまざまな方法で行われます。どのような場合でも、一貫したユーザーベースまたはロールベースのセキュリティ権限が適用され、ガバナンスが管理されたデータレイク内のどのリポジトリーからのデータも、適切な権限を持ったユーザーにしか閲覧できないようになっています。

 MDMプロジェクトは複雑でコストがかかるものの、その多くが期待通りの価値を提供できません。その理由は、スコープがあまりにも広く、またデータインフラ環境全体に、あまりに多くの変化と不確実性をもたらすためです。

 データ仮想化技術は、MDMツールを利用しているかどうかに関わらず、あらゆるMDMプロジェクトに柔軟性をもたらし、価値実現までの時間(time-to-value)を短縮します。MDMツールを利用しないプロジェクトでもデータ仮想化レイヤーによって、関連するソースシステムから「マスターデータ」を引き出して、仮想的なMDMリポジトリーを作成することができます(複数のソースから顧客のモンタージュマスタービュー作成など)。

 この仮想マスターデータは、業務アプリケーションで使用でき、データエンティティー(顧客など)の、単一で一貫性のあるビューを提供します。あるいは、既にMDMソリューションを導入済みの場合は、データ仮想化レイヤーにより、ソーシャルメディアやウェブからの非構造化データなど、他のデータソースにアクセスすることで、MDMソリューションのデータを拡張し、充実させることができます。

 BIの観点から見ると、データ仮想化レイヤーは、既存のDWHやデータベース、その他のデータソースの上に、柔軟かつ変更や管理が容易な「論理的データアクセスレイヤー」を作成します。アプリケーション開発・運用の観点からは、このデータアクセスレイヤーは、非常に汎用性の高い「共有データサービスレイヤー」と見ることができます。

 このレイヤーにより、データを保持する物理的なインフラストラクチャーは業務アプリケーションから切り離され、またそうすることで組織のデータプロビジョニングが大幅に簡素化されます。このように、データ仮想化技術はさまざまな場面で利用することができ、その汎用性と利点により、企業のデータアーキテクチャーにおいて重要な要素となっています。

【ビッグデータで算出】10年後に土地の値段が上がる駅・下が …

東京五輪を機にバブルは崩壊。人口減少で需要も縮んで、不動産「不況時代」が到来する。そこでは少数の勝ち組と、多数の負け組に分かれる土地格差社会が訪れる。あなたの住む駅は大丈夫?

GS グローバル・ビッグデータ投資戦略B(H無)【35312172 ...

GS グローバル・ビッグデータ投資戦略B(H無)の基準価額のチャートや分配金を含む基準価額のチャートを1日~10年の範囲でラインチャートや4本足チャートで閲覧可能です

データマネジメント2021〜データによる可視化が現実と仮想を ...

データレイク/データウェアハウス/データハブなどのデータ統合基盤を構築したが、実際には十分に活用されていないという課題をよく耳にします。その解決策として近年注目を集めているのがデータ仮想化技術です。米国では半数の企業が

データは誰のものか--クラウドとIoTの普及で複雑化する所有権 …

データの所有権については、ビッグデータの世界で縄張り争いが始まっており、モノのインターネットの世界では議論がさらに複雑になっている。今後かなりの紆余曲折がありそうだ。

日立、新会社「ハピネスプラネット」設立へ--幸福度の計測技 …

日立製作所は、新会社「ハピネスプラネット」を7月20日付けに設立する。新会社では、日立が開発してきた幸福度計測技術を事業化し、ウィズ/アフターコロナ時代の企業マネジメントなどに活用するという。

日刊建設工業新聞

戸田建設、西松建設、奥村組/ICT土工管理システムを構築/データ共有で効率化 [2021年4月1日3面] 清水建設/サステナビリティ・リンク・ローンで資金調達/200億円の融資枠設定 [2021年4月1日3面] 熊谷組、住友林業/中大規模木造建築の新ブランド設立/環境と健康両立へ [2021年4月1日1面]

クリーンテック(Cleantech)とは何か? エネルギー産業を変 …

世界のエネルギー構造・産業は、変革の波にさらされている。足下ではシェール革命の影響が大きいが、さらなる変革が同時並行的に進行している。スタンフォード大学では、それを「Decarbonization(脱炭素化)」「Decentralization(分散化)」「Digitalization(デジタル化)」という3つのメガトレンド(=「3D」)として教えられる。さらに日本では「Depopulation(人口減少)」と「Deregulation(自由化)」の2つを加えた「5D」も無視できない。今、シリコンバレーではこの「3D」「5D」をビジネス機会としてとらえたスタートアップがいくつも起ち上がり、日本企業を含む大手を巻き込みながら時代の波に適応しようと奮闘している。

EV新時代へ脱皮急ぐ アイシンとAWが統合へ: 日本経済新聞

アイシン精機は、子会社で自動変速機(AT)を手掛けるアイシン・エィ・ダブリュ(AW)と経営統合する。電気自動車(EV)の普及が見込まれる「CASE」時代を迎え、主力のATの需要は急減するとも言われる。電動車用駆動装置などの新製品を開発し生き残りに向けた電動化対応を急ぐ一方、基盤強化のため両社は経営統合を選び、効率化を加速する。「中国市場が落ち込んだことで危機感につながり、AWの社員にとって統合

ITビジネス情報サイト - 週刊BCN+

週刊BCN+はパートナービジネスを支える情報サイトです。ニュースだけではなく、パートナーマッチングの支援やオピニオンリーダーによるコラム・インタビューを掲載。

システム内製化の動きが顕著に、企業は遅れずに実践せよ! | …

システム内製化への回帰がはっきりと見てとれる。バイモーダルITの考え方の浸透、「2025年の崖」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の潮流、ローコード/ノーコードツールの台頭など要因はいくつかある。IT部門にとって重要な観点は何だろうか。

日本の最新式戦車「10式(ヒトマルシキ)」は何がスゴいのか ...

陸上自衛隊の特殊な要件を満たすよう開発された10式(ヒトマルシキ)戦車。コンパクトな物理的形状と戦闘重量44トンの戦車は、重量級の他の戦車よりもひときわ目立つ。IHSマークイットの軍事アナリスト、ケルヴィン・ウォン(Kelvin Wong)氏がそのパフォーマンスとビジネス機会をレポートする。

スマートシティ国内事例10選【2021年最新版】 - ビジネスWeb ...

スマートシティとは、「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」であると、国土交通省は定義している。本記事ではそんなスマートシティの国内事例を10件紹介する。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
東大松尾研究室発スタートアップの検品AIシステム、東京都のDX推進支援事業に採択
IT関連
2023-08-23 13:53
フォードと韓国SK Innovationが米国でのEVバッテリー量産に向け合弁会社BlueOvalSKを発表
モビリティ
2021-05-22 02:19
経団連の前会長、中西宏明氏が死去 日立製作所のITシフトをけん引
企業・業界動向
2021-07-02 05:48
「フォートナイト」のゲームプレイがHousepartyを通じて友人たちに配信可能に
ゲーム / eSports
2021-04-07 18:06
JAL、新会計処理システムの開発と習熟にDATを活用
IT関連
2022-03-26 11:33
NASAがハッブル宇宙望遠鏡を約1カ月ぶりに復旧・再稼働、科学観測を再開
宇宙
2021-07-21 10:33
Huawei、売上高前年比3.8%増 中国市場拡大も米禁輸措置で海外逆風
IT関連
2021-04-03 10:49
三井不動産、商業施設運営の大規模基幹システムをクラウド化
IT関連
2022-04-14 09:25
株主優待で人気のJR4社–悲観の底に沈む「JR東日本」に今、注目する理由
IT関連
2021-03-16 17:57
ブックオフの余剰在庫をジモティーで販売 倉庫スペース削減と収益化へ2社が実証
ネットトピック
2021-07-13 08:10
DataEgg、開発済みAIの運用保守サービスを提供–精度改善や運用費の見直しに
IT関連
2022-07-24 17:25
今週の記事ランキング(2021.5.30〜6.3)
IT関連
2021-06-05 01:58
Google、アプリストアの「セーフティセクション」をプレビュー
アプリ・Web
2021-07-30 18:42
マイナンバーカードで電子証明書を即時発行 本人確認を自動化 GMOが提供
最近の注目ニュース
2021-01-26 18:22