API利用の価値を訴求–MuleSoft Japanが事業方針
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セールスフォース・ドットコム傘下でAPIソリューションを手がけるMuleSoft Japanは4月20日、記者説明会を開き、日本市場での事業方針を表明した。企業でのデータ活用需要が高まる中、システムを連携するAPIの部品化や再利用による価値を訴求していくという。
MuleSoftは、2018年3月にSalesforce.comが約65億ドルで買収し、APIの開発・管理・提供のプラットフォーム製品「Anypoint Platform」を展開する。また、これまでにセールスフォースのマーケティングプラットフォームのサービス「Salesforce Customer 360」などとの統合・連携も進められてきた。
説明会でセールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネジメント シニアディレクターの林淳二氏は、「セールスフォースはCRM(顧客関係管理)ベンダーとのイメージもあるが、正しくもあり間違いでもある。2018年以降は(主要な企業買収を通じて)統合戦略を明確にした」と述べた。
同社はMuleSoftやDatorama、Tableau、Vlocityなどを買収しているが、林氏はこれらの買収が同社のカスタマーサクセス戦略を強化するための施策であり、DatoramaやTableauの買収はデータ活用の促進、MuleSoftやVlocityの買収はデータ活用するためのデータやシステムの連携、業界別のデータ活用ソリューションを実現する目的だったと説明する。この中でMuleSoftは活用するためのデータをつなぐ“ハブ”の役割を担うとしている。
現在のMuleSoft Japanは、セールスフォース・ドットコム内の一つの部門として事業活動を展開しているという。2020年10月には、A10ネットワークスやドキュサイン・ジャパンの日本法人代表などを歴任した小枝逸人氏が、セールスフォース・ドットコム MuleSoft Japan 常務執行役員に就任した。2021年2月に組織変更を行い、日本市場での事業活用をより本格化させる。
小枝氏は、企業でのデータ活用ニーズが高まる一方、システムのサイロ化や複雑性などがシステム間連携によるデータ活用の障壁になっていると指摘し、Anypoint Platformがシステム間連携を実現するためのソリューションと説明した。同製品は、マイクロサービスアーキテクチャーによるAPIの作成、セキュリティ、管理、公開、提供の機能モジュールで構成される。小枝氏は、「顧客のビジネスの成功に貢献することをも目的にしており、顧客はAPIの活用で生産性を60%向上させたり、ビジネス展開のスピードを3倍に高めたりしている」と述べた。
今後の事業方針では、基幹系業務システムのクラウド移行と各種システム間連携のニーズに対応し、「日本市場に対するコミットメント」「Salesforceとのシナジー」「パートナーとの連携」を掲げる。
日本市場に対するコミットメントでは、システムやアプリケーション、デバイスの接続を通じた企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援するとし、そのために日本市場に即した事業体制の整備や製品・サービス、サポートの提供に取り組む。Salesforceとのシナジーでは、Salesforce Customer 360との密接な連携や、カスタマーサクセスの実現を掲げるセールスフォース・ドットコムのビジョンを体現していくとした。 パートナーとの連携は、日本市場に対するコミットメントやSalesforceとのシナジーでも触れつつ、現在23社の日本のパートナーとの協業を推進していく。
セールスフォース・ドットコム MuleSoft Japan 執行役員 MuleSoft営業本部長の小山径氏は、APIの活用がシステム連携の在り方を変えると説明。同社のソリューションを利用することでシステムとデータを分離し、システムを“ブロック”としてビジネス要件に合わせながら組み上げていくことができるコンセプトだとする。APIはこのブロックやデータをつなぐ“部品”であり、個別開発あるいは既存のAPIを繰り返し利用できるようにすれば、ビジネスの状況に応じてシステムの変更や新たな構成への構築なども容易で迅速になるとメリットを強調した。