オブジェクトストレージが選ばれる理由–導入・活用のポイントを解説
今回は「オブジェクトストレージが選ばれる理由–導入・活用のポイントを解説」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
今日保存されているデータの80%は「オブジェクトストレージ」に保存されています。さらに、オブジェクトストレージに保存されているデータは2年ごとに2倍になると言われています。ストレージの世界に入ってきたばかりの新参者として、オブジェクトストレージはどのようにして業界をリードする存在になったのでしょうか。
この比較的新しいテクノロジーが、データの保存と管理の方法を変えた理由は、GB当たりのコストが大幅に削減されたこと、簡単に拡張できること、セキュリティが向上したことなど多くの理由があります。オブジェクトストレージは、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)をはじめとする多くのパブリッククラウドに採用されています。オブジェクトストレージが選ばれている理由は、コストや使いやすさだけではありません。
オブジェクトストレージは、ソフトウェアで定義することができ、REST APIでデータの読み書きなどを行うウェブベースの分散型ストレージシステムとして利用できます。また、ストレージノードを追加するだけで容量を簡単に追加でき、企業の共有ストレージをシームレスに増強できます。適切なアクセス権があれば、組織内の誰もがどの場所、どのデバイスからでもストレージを利用できるため、企業はサイロ化したストレージを運用することの苦痛や非効率から解放されます。また、企業のファイアウォール内で稼働させることができるため、パブリッククラウドと比べてセキュリティの心配がはるかに少なくて済みます。
しかし、オブジェクトストレージは、企業内のストレージに対する全てのニーズに応えるわけではなく、ブロックストレージやファイルストレージと併用されるのが一般的です。ここでは、レイテンシーやスループット、スケーラビリティー、管理の複雑さ、GB当たりのコストといったパフォーマンス指標について、ブロック、ファイル、オブジェクトという3つのストレージの長所と短所を比較してみましょう。
ブロックストレージは、特定の物理的な場所を持つ均一なサイズのデータブロックにファイルを格納します。SANと呼ばれることも多く、非常に低いレイテンシーと安定したスループットにより、データベース処理に最適です。これらはハイパフォーマンスシステムと呼ばれ、一般的にGB当たりのコストが最も高くなります。
前述のパフォーマンスワークロードには理想的ですが、容量が数百TBを超えるとパフォーマンスが低下し、管理がより複雑になります。これらの高性能ブロックストレージシステムは、さらに優れたパフォーマンスを提供するフラッシュストレージシステムに導入されるケースが増えています。まとめると、ブロックストレージは高性能かつ低容量のワークロードに最適です。
NAS(ネットワークアタッチドストレージ)と呼ばれることが多いファイルストレージでは、ストレージはネットワークに接続されたサーバーやPCから、NFSなどのプロトコルを介して共有される階層構造でファイルを管理します。ブロックストレージへのアクセスと比較すると高いレイテンシーが発生しますが、良好なスループットを提供することができます。
一般的にはファイルストレージはブロックストレージよりも低コストで、大容量に拡張できますが、データがPBレベルを超えると管理が複雑になります。LAN/WAN環境でファイルを共有する企業にとって、NASは理想的なソリューションかもしれません。
一方、オブジェクトストレージは、ストレージに対する考え方が全く異なります。オブジェクトストレージは、無限の容量規模で最大のアクセス性と信頼性を提供することに焦点を当てています。オブジェクトストレージシステムの中には、完全にウェブベースのものもあり、HTTPを介して適切なアクセス権を持ったあらゆるタイプのデバイスからデータにアクセスすることができます。
これはパブリッククラウドだけでなく、大規模な組織内の異なる部門が共有するプライベートクラウドにも大きなメリットがあります。ファイルストレージやブロックストレージとは対照的に、オブジェクトストレージは豊富なメタデータを持つことができ、メタデータやその固有キーを介して検索することで位置を特定することができます。
そのため、オブジェクトストレージは、他の方法では検索できないような大規模で非構造化データのオブジェクトに最適です。そして今日、非構造化データは新しいデータ容量の増加の80%を占めているため、非構造化データ用にストレージ層を最適化することは非常に重要になってきています。
オブジェクトストレージの中には、Amazon S3 APIをサポートしているものもあります。元々はAWSによって開発されたこのサービスは、数千ものアプリケーションがエコシステムを形成しており、クラウドの世界ではデファクトスタンダードとなっています。
分散ネットワークを介してアクセスされるため、ブロックストレージやファイルストレージに比べてレイテンシーが高く、データの一貫性は「結果整合性」により保証されますが、マルチノードであることから、ブロックストレージやファイルストレージをはるかに上回るスループットを実現しています。
マルチテナンシーなどの大規模組織にメリットをもたらす機能は、多くの商用システムに組み込まれており、パブリッククラウドやサービスプロバイダーにとっては当然の要件です。ストレージリソースを共有できる大規模組織にも、ワークフローやコスト効率の面で並外れたメリットがあります。このような組織には、サービス品質やアクセス管理、暗号化などの要件が異なる安全なストレージを必要とするさまざまな部門があり、スマートオブジェクトストレージシステムは、バケットと呼ばれる独自の割り当てをさまざまな部門に提供し、それぞれの要件に合わせて個別に設定することができます。
中には、課金機能を提供するものもあり、企業全体のIT-as-a-Serviceでは、パブリッククラウドと同じように、わずかなコストで内部サービスの料金を請求することができます。この点は、ここで説明した3つのシステムの中で、オブジェクトストレージの最も差別化された側面の一つです。
オブジェクトストレージは簡単に拡張できるだけでなく、幾つかの商用システムでは、ダウンタイムや管理の手間をかけずにストレージノードを追加するだけでスケールアウトでき、必要に応じて数十~数百PBまで拡張することができます。
まとめると、3つのシステムのうち、オブジェクトストレージは最も高いレイテンシーを持ちながらも、最も高いスループットを持っているため、非構造化データのような大規模なオブジェクトに最適です。事実上無制限で手間のかからないスケーラビリティーと、ウェブライクな操作性を備え、従来の形態に比べて管理の複雑さが格段に少ないのが特徴です。そして、GB当たりのコストは3つのオプションの中で圧倒的に低く抑えることができます。