「LINE WORKS」成長の鍵は現場、使いやすさ、地方–ワークスモバイルジャパン 福山社長

今回は「「LINE WORKS」成長の鍵は現場、使いやすさ、地方–ワークスモバイルジャパン 福山社長」についてご紹介します。

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 ビジネスチャット基盤の「LINE WORKS」を展開するワークスモバイルジャパンは2022年1月、LINE WORKS導入企業数が35万社、利用者数は400万ユーザーを突破したことを明らかにした(無償プランを含む)。2019年段階の5万社・100万ユーザーから急成長しており、2021年11月に初公開したLINE WORKSの年間経常収益(ARR)では2021年第2四半期決算で78億7000万円を計上している。

 ワークスモバイルジャパンの説明によれば、LINE WORKSは、国内ビジネスチャット市場で約43%のシェアを占めているという。モバイルデバイスやPCなどから使用するコミュニケーションツール「LINE」に類似した操作性がLINEユーザーに馴染(なじ)みやすく、ビジネスに必要なカレンダーやアドレス帳なども備えているため、グループウェアとビジネスチャット機能を融合させた製品と言えば分かりやすいだろう。

 2016年1月登場以降、緩やかに成長していたLINE WORKSは、2019年時点では100万人だったユーザー数が翌年2020年に200万人、2021年には400万ユーザーまで拡大した。コロナ禍におけるリモートワーク需要増があるものの、その理由について同社代表取締役社長 福山耕介氏は、「LINE WORKSの販売パートナーが昨年対比で約400%に増加。また、2020年、2021年は認知度向上のため、マーケティングに投資した」からだと説明する。

 マーケティング施策は、「われわれ自身が顧客にLINE WORKSの良さをお届けする。(コロナ禍で)販売パートナーも動きにくく、販売パートナーに顧客自身から『欲しい』と言わせるため。販売能力だけに頼っていてはコロナ禍を乗り切れない」(福山氏)と述べつつ、テレビコマーシャルを2022年2月1日から再開させ、販売シナリオの準備に取り組んでいる。

 ビジネスチャットの選択肢は幅広く、各メーカーがしのぎを削る厳しい市場だが、LINE WORKSが選ばれる理由の一つに業務の現場で使用するユーザーの存在が大きい。「おそらく『Microsoft Teams』や『Slack』は、着席してPCで仕事をする方が使うツールだと思う。(LINE WORKSは)建設現場に出向く方や、介護業界でケアにあたる『現場で働く方々』に届けたいツール」(福山氏)だという。スマートフォンがあれば、いつどこでも情報共有やコミュニケーションできる点が評価されていると同社は推量した。

 もう一つの理由として、福山氏は「顧客からは『導入ハードルの低さが決め手になった』と言われる」と強調。ITソリューション導入時は利用方法を学ぶ・周知するといった学習コストが発生するものの、多くの消費者が利用するLINEに類似するユーザーインターフェース(UI)が「最大の特徴。普段使いしているLINEに操作性を近づけることは(LINE WORKS成長の)大きな要因」だという。

 さらにコロナ禍で消費者にアクセスできない個人向け(BtoC)企業も「コロナ禍で顧客に直接会えず、今時、メールや電話(によるコンタクト)も拒否されてしまう。お客さまが許せば、LINEとつながるLINE WORKSで営業できる」(福山氏)。2022年1月時点でLINE WORKSの外部トーク連携機能を用いて、LINE WORKSユーザーとつながるLINEユーザー数は1400万人に及ぶ。

 ワークスモバイルジャパンが注力するのは地方である。同社は「東京でも売れているが、それ一本で勝負していたら、ここまで来られなかった。やはり地方が大きなキーワード」(福山氏)と自社の姿勢を述べつつ、地方特有の商圏に言及した。「確かに(地方は)大都市と比較すると小さい。例えば島根県でビジネスがある。(北米系メーカーは)利幅などを気にするが、丁寧に対応することが導入社数の増加に寄与した」と福山氏。青森県であれば、青森市、八戸市、弘前市とそれぞれ異なる商圏が存在し、個別に関与しているという。

 また、営業活動についても「多分だが、昨日まで電話とファクスで仕事をしている方々がMicrosoft TeamsやSlackを選択することは難しい。国内企業の9割以上は中小企業。当社の売り上げも5割程度を占めており、われわれはその区分を攻略していく。それが北米系のビジネスチャットツールとの大きな違いだ」と福山氏は主張した。

 このような戦略の成果は、78億7000万円というARRという形としても現れているという。

 新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった2020年初旬は、LINE WORKSの方向性を見直す機会となった。コロナ禍でビデオ通話やグループ通話の利用頻度が大きく増え、2022年1月時点のビデオ通話利用率は7.5倍(前年比)、グループ通話は25倍(同)に増加。福山氏は「追い風になったのは事実。われわれも品質向上など機能を追加投入してきた1年だった」と2021年を振り返った。同社はコロナ禍で減少した雑談の機会も、「ビデオ通話で(従業員同士を)つなげっぱなしにして、個別に仕事をする」(福山氏)ことで、カジュアルなコミュニケーション環境を実現している。

 LINE WORKSはLINEを開発・運営するLINEと兄弟会社に位置付けられるため、「情報交換は行っている。UIもLINEに寄せる部分と(LINEが実装していない)カレンダーなどの機能はLINE WORKS独自のUI」を備えると福山氏。今後の開発について、同氏は「引き続き使いやすさを追求する。多くの製品は機能追加で使いにくくなることが少なくない。最新の注意を払いながら運用性や安定稼働を目指す」と語った。

 2022年4月から利用料金・プランの改定を予定しているが、「シンプルにするためプランを(フリー/スタンダード/アドバンストの)3択に絞り込み、オプションで機能追加するパターンを増やした。ユーザーに必要な機能を選択してもらう」(福山氏)ためだという。例えばクラウドストレージの「Drive」は最上位のアドバンストプランを選択するか、オプション契約を結ぶ必要がある。また、LINE WORKSをフロントエンドとして、他のITソリューションを利用する連携機能の開発も継続する。始業時間をLINE WORKSに入力し、勤怠管理システムでデータ管理するといった仕組みだ。福山氏は「2年前から取り組んでいるが、さらに一歩進める」と説明し、今後行われるバージョンアップで機能実装を目指す。

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