30社の業務効率化を支援–freee活用したITコンサルを提供する中国銀行の狙い
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freeeは2月15日、地方銀行の中国銀行(岡山市北区)との協業を通じて地方企業が抱える課題解決に取り組むと表明した。同行は2019年9月から「freee会計 for 中国銀行」「freee会社設立 for 中国銀行」「freee開業 for 中国銀行」を提供するとともに、地方企業の経理や総務の業務を中心にfreeeサービスを活用したITコンサルティングも提供している。
freeeは、地方銀行のコンサルティング強化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流に即した価値創出支援、人的資源に依存しないデータ活用で新顧客区分の創出、営業行動の高度化や社内のデジタル化によるDX支援を行っていくと説明した。
中小企業庁が2018年4月に公表した2018年度の中小企業白書によれば、「社外におけるITに関する事柄の日ごろの相談相手」は地元のIT企業がトップの42.8%だが、金融機関は4位の12%にとどまる(有効回答数3909)。同調査で「ITの導入・利用を進めようとする際の課題」を聞くと、「導入効果が分からない・評価できない(29.6%)」「従業員がITを使いこなせない(21.5%)」との意見が寄せられた(有効回答数3806)。
中国銀行 ソリューション営業部 西﨑伸弥氏は「全体の50%を占め、(ソリューション)導入後の改善を想像できず、心理的ハードルがある」と指摘した。
中国銀行は中小企業がITを活用するためには、ソリューションの精通、顧客の業務内容理解、簡素化の3つが欠かせないと説明する。一般論で金融機関がITコンサルティング業務に携わるのは意外に見えるが、中小企業へITを定着させるには、「財務、ビジネス、デジタルと3つの視点が必要」(西﨑氏)と述べつつ、伴走型でfreee導入に着手した。
背景には金融庁が2016年10月に打ち出した「金融行政方針」でうたわれている、顧客本位とした金融機関の業務運営、金融機関のビジネスモデル変革がある。具体的には同行支援チームが業務可視化や業務整理し、freee会計を中心とした業務の全体設計や運営サポートを顧客に提案し、会計事務所による適正性の確認を行う。
中国銀行の取り組みはこれまで130社以上に広まり、現時点の業務効率化プロジェクト支援先は30社を数える。
通信販売事業などを手掛ける富士産業(香川県丸亀市、従業員数219人)は仕訳に代表される日常業務を2分の1、これまで月初8日間を要した月次決算作成業務を5日間に短縮したという。
富士産業 総務部 経理課長 田中邦明氏は「経理業務の本質は決算書を作るのではなく、経営の意思決定支援や企業資産の信用を守ること。(中国銀行の支援で)本質的な業務に時間を割き、業務品質が向上した」と感想を述べた。業務内容の統一による従業員間の業務互換性向上やシステム費用の削減などの副次効果も得られたと説明している。
産業廃棄物や環境保全に関する対応を行うエコ・クリエイト(岡山市北区、従業員数12人)も経理業務時間を約79%、売上代金の現金回収割合が約80%、会計業務で使用する用紙を約50%削減させた。エコ・クリエイト 常務取締役 坪絵由里子氏は「以前は半日かかっていた経理業務も1日1時間程度に短縮できた。SDGsへの取り組みや節減に用いるデータ管理、従業員の労務関係に時間を使っている」と述べている。
同行は現在のコンサルティング業務が財務や会計を中心としているため、情報共有や受発注・在庫管理、人事、労務など周辺領域に拡大させると今後の展望を語った。