NEC社長が通信イベント「MWC」で語った「C&Cが進化した未来」
今回は「NEC社長が通信イベント「MWC」で語った「C&Cが進化した未来」」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏と、富士通 代表取締役社長の時田隆仁氏の発言を紹介する。
NECは先頃、スペインのバルセロナで開催された世界最大のモバイル関連イベント「MWC Barcelona 2022」(以下、MWC2022)に出展し、それに合わせて森田氏がオンラインで講演を行った。冒頭の発言はその中で、筆者が興味深く感じた内容である。
MWC2022では、さまざまな機器を組み合わせて利用できる「Open RAN」と呼ぶオープン仕様の無線アクセスネットワーク技術の活用が話題の中心で、NECもこの分野での先進的な取り組みを紹介していた。
そうした中で、森田氏の講演スピーチで筆者が興味深く感じたのは、通信に関する大きな話の次のようなくだりだった。
「過去、通信は国の競争力のコアであると認識されていたが、その後、各国で民営化が進められ、コンピューターやインターネットが注目を集めてきた。しかしながら、(次世代の移動体通信規格である)5Gや6Gの時代において、通信は再び次の10年の技術や産業に変革をもたらすドライバーになると認識されている」
さらに、こう続けた。
「NECはこうした変化がもたらすリアルな世界とバーチャルな世界をつなぐ新たなコネクティビティーに重要性を見いだしており、そうしたコネクティビティーを実現する企業として活躍していきたいと考えている」
冒頭の発言はこのスピーチから抜粋したものである。
「リアルな世界とバーチャルな世界をつなぐ新たなコネクティビティー」と聞いて、筆者の頭に浮かび上がってきたのは、NECがこれまで長らく企業理念のキーワードとして自らの代名詞にも使ってきた「C&C(Computer & Communication)」という言葉である。
C&Cとは、コンピューターと通信の融合を意味する。1977年、コンピューター分野と通信分野がまだ技術面でも事業面でも全く違うものと考えられていた時代に、当時会長だった小林宏治氏が米国アトランタで開催された国際総合通信イベント「インテレコム77」の基調講演で初めて提唱したものだ。以来、NECはこのC&Cを全社グループの技術戦略、事業戦略の中心に据えてきた。
今では日本語でも「情報通信」という言葉が一般的に使われるようになったが、これからC&Cに匹敵するような融合の技術として求められるのが、「リアルとバーチャルの世界をつなぐ新たなコネクティビティー」なのではないか。
45年の時を経て、米国とスペインで場所は異なるが、共に通信イベントでNECのトップが発信したメッセージが、筆者にはシンクロして聞こえた(写真1)。