クラウドとタブレットで自治体の母子保健業務を支援–両備システムズが新たな取り組み
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両備システムズは、地方自治体の母子保健業務の支援や政府が全国で整備する子育て世代包括支援センター向けの子育て支援ソリューションとなる「ネウボラかるて」を開発している。同社は3月17日に記者説明会を開き、広島県府中町が第1号ユーザーとして3月に本格的な運用を開始したことを発表した。
ネウボラかるては、業界で初めてタブレットを活用でき、あらゆる場所で母子保健業務を行えるようにしたのが特徴だ。両備システムズは、2023年度までに1億円の販売を目指している。
説明会でヘルスケアソリューションカンパニー 健康ビジネス事業部DXソリューション部DXフィールドグループ課長の影山勇氏は、「自治体の業務情報と住民が登録するウェブサイトがシームレスに連携し、子育て支援業務を包括的に網羅するソリューションは全国で初めて。子育て支援業務はさまざまな場所で行うため、デジタル化が遅れており、自治体と住民の双方に負担があった。場所を選ばすどこでもつながる環境を実現し、子供の健やかな成長に貢献できる」と述べた。
ネウボラかるては、全国約700自治体での導入実績がある同社の健康管理システム「健康かるて V7」をベースに開発された。妊娠から出産、子育て期までを対象とする自治体の子育て支援業務をサポートし、住民サービスの向上や職員の業務効率化を実現するソリューションだ。
担当者がタブレット端末を使用して、訪問先や健診会場で各種情報を登録、確認する「業務システム」、住民のスマートフォンやPCを活用して、問診回答や各種予約を登録する「住民サイト」、業務システムや住民サイトを安全に利用するために必要なインフラやセキュリティ対策を提供する行うデータセンター、セキュリティサービスで構成される。自治体の「LGWAN-ASPサービス」にも登録されている。
影山氏は、「当社のデータセンターを活用し、業務情報を扱うタブレットと閉域網接続する。住民サイトは暗号化やファイアウォールなどの複数のセキュリティ対策を実施している。強固なセキュリティを担保しつつ、柔軟な連携を実現している」と述べる。
自治体における子育て支援は、母子健康手帳の交付に始まり、妊婦訪問、健診、子育て教室などさまざまな事業がある。国が定めた事業の他に自治体独自の取り組みも多い。これらの情報を一元的に管理することによる、過去の状況を踏まえた包括的な支援が求められている。
だが同DXフィールドグループの原田祐希氏は、「多くの自治体が依然として紙のカルテで管理しており、健診や教育、相談を行う会場に大量の紙カルテを持ち込んで、終わると再び収納、管理することになる。カルテの紛失や破損の原因になり、担当者間での情報共有にも都度資料をまとめたり、コピーしたりする必要がある。住民も産後の大変な時期に手書きでアンケートに答えたり問診に回答したりする手間を強いられていた。忙しい日中に限定する形で相談や教室の予約を電話で取らなくてはならないという課題があった」と指摘する。
ネウボラかるては、タブレット端末を活用してさまざまシーンで情報照会ができ、世帯情報や過去の健診結果、相談内容などを確認しながらの包括的な支援を可能にする。その場での情報入力、データの即時共有も行え、紙カルテの保管が不要になり事務作業が効率化されるといったメリットも生む。
タブレット端末には、顔認証などを活用した多要素認証のセキュリティソリューション「ARCACLAVIS(アルカクラヴィス)」を採用。瞬きの検知やマスクをしたままの認証にも対応する。両備システムズのデータセンター「Ryobi IDC」に閉域環境で接続でき、利便性とセキュリティを兼ね備えているという。
また、住民サイトはスマートフォンなどで簡単に教室や来庁の予約、健診日程変更、問診回答がいつでもできるのが特徴だ。従来は健診会場で職員が問診内容を確認するというケースが多かったが、事前に来庁予定や子育ての様子を把握でき、しっかりとしたフォローが可能になるという。
イラストも交えて利用者が回答しやすい画面構成にしたり、問診回答では「一時保存」や「続きから登録」といった操作を可能にしたりといった工夫もしている。特に乳幼児健診は、多くの質問に回答する必要があり、空いた時間に何度か分けて回答することもできる。自治体からのプッシュ通知機能も用意しているという。
なお、名称にある「ネウボラ」は、フィンランド語で「相談する場」を意味し、妊娠から出産、子育て期に至る切れ目ない支援の実現に向けた自治体サービスについて、包括的にサポートするフィンランドでの施策名称にもなっている。