AIを創造的、倫理的に利用するために–人の要素が果たす重要な役割

今回は「AIを創造的、倫理的に利用するために–人の要素が果たす重要な役割」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 最近では人工知能(AI)の導入が進んでおり、不正検知のような分野だけでなく、一般に本来は人間の仕事であると考えられているクリエイティブな分野にまで利用が拡大されつつある。しかし人間は、今も直感や道徳規範を必要とする領域で大きな役割を果たしている。

 「創造的な能力を持つAI」という言葉は矛盾しているように思えるかもしれないが、 Appierの役員によれば、すでに創造性を必要とする活動にAIを活用したプロセスが取り入れられている例はあるという。台湾に本社を置くSaaS企業であるAppierは、デジタルマーケティングやブランド向けの製品を提供するためにAIを活用しており、1日に300億件近くの予測処理を行っている。同社のツールは、企業がユーザーに豊かな体験を提供し、長期的に得られる価値が高い顧客を特定するのに役立つとうたわれている。

 AppierのチーフAIサイエンティストを務めるSun Min氏は、米ZDNetの取材に対して、今ではAIがクリエイティブな作業の支援に使われるようになっていると語った。例えば同社では、指定したパラメーターに基づいて、AIを使ってマーケティングで使用するスローガンや画像、音楽などを生成しているという。

 マーケティング担当者がキャンペーンを企画するためには、いくつもの作業が必要であり、これにはキャンペーンに使用するスローガンや、ブランドや製品を説明するための画像や映像、全体的なテーマに使用する色やBGMなどを決定することも含まれている。

 このようなプロセスでは、AIを使うことによって繰り返し行う必要がある作業を減らすことができるとSun氏は言う。

 同氏は、今ではほとんどのキャンペーンがデジタルプラットフォームで構成されているため、全体を通じて同じ映像とスローガンを使用し続けるのではなく、さまざまな音楽や映像の組み合わせを試せるようになっていると説明した。

 AIは、指定されたパラメーターの範囲内でコンテンツを作成し、1つのキャンペーンのアイデアに基づいて、テキスト、音楽、動画などのさまざまなコンテンツの組み合わせをいくつも自動的に生成することができる。

 また、それらの組み合わせを自動的に展開して、さまざまなオーディエンスセグメントでテストを行い、どの組み合わせがもっとも好評だったかを調べることもできる。マーケティング担当者は、その中の上位5つのコンテンツを選び出し、それらを膨らませるためにリソースを集中的に投入すればいいだけだ。

 Sun氏は、これによって多くの繰り返し作業を減らすことができるため、人間はより創造性を発揮することができると述べている。ただし人間は、AIのアルゴリズムに必要なパラメーターを入力する仕事や、AIシステムが生成した100通りの案の中から、最終的に最も優れている5つの案を選択する仕事からは逃れられない。

 同氏は、「AIが創造的な作業を行うことは可能だが、直感はやはり人間が担わなければならない」と付け加えた。

 Appierのチーフ機械学習サイエンティストであるLin SD氏も同様の考えを持っている。Lin氏は、AIや機械学習は、大規模なデータセットから、「クリエイティブ」なものを生成するユニークな手段を見つけ出すことができると指摘した。

 もっとも、これはビッグデータを使って興味深い新しいアイデアを生み出す手段の1つにはなるが、そのアイデアが実際に有益なものか、クリエイティブな価値が低い単なる情報の寄せ集めかを最後に判断するのは人間だ。

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