Contentsquareが日本法人設立–「顧客体験分析市場の認知を高めたい」
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米Contentsquareは5月23日、国内でのビジネス展開について説明会を開催した。同社は、4月に日本法人のContentsquare Japanを設立したばかりだ。
Contentsquareは2012年にパリで設立し、現在ニューヨークに本社を置く企業。企業が消費者により優れた顧客体験を提供できるよう、オンライン顧客体験分析プラットフォームを提供している。現在26カ国で1000社以上の顧客が存在し、日本でも既に30社が同社のソリューションを利用している。
Contentsquare Japanのカントリーマネージャーに就任したのは、セールスフォース・ジャパンでデジタルマーケティング営業本部 執行役員を務めていた伊奈憲一郎氏だ。伊奈氏はこれまで13年以上にわたり、SaaSやデジタルマーケティングなどの領域で、エンタープライズ顧客のイノベーションを支援してきた経験を持つ。
伊奈氏は、「ウェブ分析が長年存在しているにも関わらず、デジタル体験はいまだブラックボックスのままだ」と指摘する。そのため、分析結果に基づいて顧客に最適だと思われる行動導線を設定しても、顧客は全く異なる行動を取ることがあるとしている。
「従来のウェブ分析では、どこで顧客が離脱するかは把握できたものの、その行動の原因は把握できていなかった。それは、訪問者数やクリック数、コンバージョン率といったウェブメトリクスと、ネットワークやページロード、サーバーエラーなどのパフォーマンスメトリクスという2点をモニタリングすることのみで手がかりを得ていたからだ。しかし、顧客行動の95%はクリック間に存在するといわれていることから、Contentsquareでは顧客の不満や混乱などから導き出す『顧客体験メトリクス』という新たな指標を設け、3つのメトリクスから全体像を把握する」と伊奈氏は説明している。
同社の提供するソリューションは、ウェブサイトやアプリにおけるカーソルのホバー、スワイプ、タップ、スクロールなどを全て分析する。また、ヒートマップや行動分析、セッションリプレイなどの機能でカスタマージャーニーを可視化するほか、人工知能(AI)でウェブやアプリのUIの課題を自動で検知する。
これにより、「膨大なデータから改善すべき顧客体験が自動検知できるようになる。例えば、同一ページでユーザーが2秒以内に3回以上クリックしているということは、ユーザーがそのページでどうしていいのか分からない状況にあるということだ。また、施策によって想定される利益を算出するなど、改善ポイントの定量効果も把握できるようになっている。分かりやすいユーザーインターフェース(UI)のため、マーケティング部門や電子商取引(EC)担当者だけでなく、製品担当や運用チームなど、さまざまな部門での活用が可能だ」と、伊奈氏はソリューションの特徴について語る。
例えば、英国の金融機関NatWest Groupでは、同社のソリューション「CS Insights」にて、訪問者がクレジットカードの審査フォームを記入する際、フォーム上で複数のボタンをクリックしていることを把握。訪問者のセッションをリプレイしたところ、エラーは表示されるものの、どこにエラーがあるのか分かりにくいことが明らかになった。これが要因で、毎月121件のコンバージョンが失われていることが分かり、エラーの箇所までフォームを自動スクロールするよう推奨、問題の改善につながったという。
日本法人の設立に当たり、まず取り組むことについて伊奈氏は、「顧客体験分析という市場の認知を高めたい」としている。「この領域はまだあまり認知されておらず、ヒートマップと比較されることが多いが、できることは大きく異なる。そこで、まずは日本で顧客体験分析という市場をより幅広く知ってもらうことが重要だ」と伊奈氏は話す。
その上で、ソリューションについては、「特に日本ではモバイルでのユーザー体験(UX)改善の機会が大きい」と伊奈氏は見ており、「ウェブ改善の支援に加え、モバイルアプリのUX改善の支援にも戦略的に取り組みたい」としている。
ターゲットとする顧客については、「UX改善を最優先課題として取り組む顧客」と伊奈氏。ただし、グローバルでの顧客トレンドとしては、エンタープライズの顧客が先行していることから、日本でもまずはエンタープライズの顧客を中心にアプローチするという。
エコシステムの拡大にも取り組む。4月には、ソフトバンクとパートナーシップ契約を結んでおり、「エンタープライズの顧客やUXに課題を抱える顧客が最も組みやすいパートナーシップをエコシステムとして作り上げていきたい」としている。
販売戦略については、「これまではギャプライズによる代理店販売を行っていたが、日本法人の設立を機に、ダイレクトアプローチにもより積極的に取り組む」と伊奈氏。ただ、この領域はツールで課題が可視化されても使いこなせない顧客も存在することから、「パートナーエコシステムの支援も重要だ」としており、「日本の顧客が求めるエコシステムを構築しつつ、パートナー経由でのリセールモデルでビジネスを拡大していく」とした。