LIXILがノーコード開発を推進–デジタルの民主化で1万7000個のアプリが誕生
今回は「LIXILがノーコード開発を推進–デジタルの民主化で1万7000個のアプリが誕生」についてご紹介します。
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グーグル・クラウド・ジャパンは6月24日、同社の「Google Cloud AppSheet」を活用してノーコード開発を推進するLIXILの事例について報道向け説明会を開催した。
グーグル・クラウド・ジャパン Google Workspace事業本部 ソリューション営業部 営業統括部長の小林直史氏によると、AppSheetのユーザーの70%以上は、コーディングのスキルを全く持たないか初級レベルだという。同氏は、「デジタル革命の時代では、どの企業もデジタル変革(DX)に取り組んでいるが、エンタープライズソフトウェアに対する投資は年々増加しており、企業はいかにコストを抑えながらDXに対応していくかが課題となっている。ユーザー部門で生まれる小さな要望を、AppSheetによるノーコード開発で対応すれば、こうした課題が解決できる」と述べ、AppSheetでデジタルの民主化が実現するとした。
LIXIL 常務役員デジタル部門 システム開発運用統括部リーダーの岩﨑磨氏は、同社がノーコード開発に注目した背景について、「LIXILでは既にロボティクスプロセスオートメーション(RPA)を活用するなど、現場主導の業務改革という民主化への流れはできていた。ただ、デジタル化へのニーズはより一層高まっており、デジタル部門だけで全てのアプリ開発に対応するには限界があった」と語る。
この課題に対応すべく、同社が導き出した答えがデジタルの民主化だ。デジタル部門への要望のバックログを確認したところ、働き方を少し変えて業務効率を上げたいといった比較的小規模な要望が多いことが分かり、岩崎氏は「デジタル部門の人数を増やすのではなく、デジタル部門以外の人がデジタル人材になればいいと考えた」という。
試しに全くデジタルの経験がない人に対し、YouTubeのノーコード開発の動画で学んでもらったところ、数日間で簡単なコードが書けるようになったという。そこで「デジタルの民主化とノーコードの可能性を見た」と岩崎氏は語る。
ただし、LIXILではこれまで現場でツールを作ることは禁止していた。ツールが乱立すると制御しきれなくなり、企業の弱さやリスクにつながると考えていたためだ。しかしこの点も、「ある程度のリスクがあっても、リスクを許容できるフレームワークがあるかどうかが重要だ」と意識を変え、AppSheetによって対応できると判断。「リスクを許容することで、従業員がもっと自由に開発に取り組めるよう、カルチャートランスフォーメーション(企業文化の変革)をするべきだ」(岩崎氏)と考えた。
こうしてLIXILはデジタルの民主化を本格的に開始することになった。
2021年4月に正式にプロジェクトを開始したLIXILでは、同年7月に役員・幹部に向けたワークショップを開催した。その中で、デジタル部門だけでは全ての要望に対応しきれないこと、その解決策としてノーコード開発に取り組むことを伝え、役員と幹部全員にAppSheetによるアプリ開発を体験してもらった。こうして幹部の認識を合わせ、10月には全社でAppSheetの展開を開始した。
AppSheetを選択した理由について、岩崎氏は「非エンジニアでも自らデジタル変革を推進できるノーコード開発の魅力に加え、『BigQuery』との親和性などから当社のデータプラットフォームに蓄積された社内のあらゆるデータが活用できる点が大きかった」と話す。
全社展開から約9カ月。LIXILでは、4000人の市民開発者が1万7000個のアプリを開発、うち700弱のアプリが既に本番で運用されているという。「皆、主体的にどんどんアプリを作り、自ら改善している。これがカルチャーとして根付いた。それがLIXILの成長ドライバーになっている」と岩崎氏は言う。