課題特化型AIが実現する「8日分の献立作成」–Laboro.AI、味の素のサービス開発支援

今回は「課題特化型AIが実現する「8日分の献立作成」–Laboro.AI、味の素のサービス開発支援」についてご紹介します。

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 Laboro.AIは8月1日、味の素のレシピデータ、栄養素の条件、ユーザーの要望を基に献立を作成するAIエンジン「献立作成エンジン」を開発したと発表した。同エンジンは、献立づくりを支援する味の素のサービス「未来献立」などに用いられている。

 Laboro.AIは、機械学習(ML)を活用したオーダーメイド型のAI「カスタムAI」の開発と導入コンサルティングを行う企業。オーダーメイド型のAI開発では、先端のML技術を基に顧客のビジネスに最適なAIを受託開発し、ビジネス現場特有の課題解決を支援するという。

 カスタムAIでは、「機械学習エンジニア」が技術、「ソリューションデザイナ」がビジネスの観点で顧客の課題解決を手助けする。具体的には、機械学習エンジニアがAIモデルの開発やサービスへの組み込みを行い、ソリューションデザイナが顧客と連携してビジネス課題を深掘りする。

 献立作成エンジンは、味の素が保有する1万以上のレシピデータ、栄養素の条件、ユーザーの好きな料理や苦手な食材の情報を基に献立を作成(図1)。未来献立は同エンジンを活用し、最長8日分の献立をまとめて提案する。味付けの濃い食事などをとった場合、翌日の献立を調整することも可能だ。外部サービスとのAPI連携も可能で、サービスの提供者は自社サービスのユーザーに適した献立を作成するよう事前に条件を指定できる。

 味の素は2024年3月に未来献立をリリースし、同年11月には明治安田生命のヘルスケアアプリ「MYほけんアプリ」の新機能として同エンジンの提供を開始した。未来献立の現在のユーザー数は当初の予想を大幅に上回っているという。

 献立作成エンジンの開発では、社内の関係者やターゲット層の消費者にとって違和感のない献立を安定して作成できる状態を目指し、その達成を受けて提供を開始した。今後は、ユーザーからの要望や入力情報を活用し、サービスの改善を予定している。

 献立作成エンジンの開発においてLaboro.AIは、構想検討から初期開発、テストマーケティング、機能/システム改善、サービス提供までを一貫して支援した。両社は、エンジンが作成した献立を確認し、品質向上に向けて議論を重ねたという。

 同日開催の説明会に登壇したソリューションデザイン二部 シニアソリューションデザイナの広瀬圭太郎氏は「『良い献立』を言語化するのは難しい。味の素と当社で作成された献立に対する違和感の正体、改善につながる要素、エンジンに与える条件を議論し、品質向上に努めた」と振り返った。

 従来の生成AIサービスでも、ユーザーがプロンプト(指示文)として手持ちの食材などを入力するとレシピが出力されるが、広瀬氏は「インプットされているデータの質が違う」とし、「献立作成エンジンは、味の素のレシピデータや知見をインプットしている。生成AIは『それっぽいもの』は出せるが、今夜の献立として食卓に並べられるものを常に出せるかというと分からない。同エンジンが作成する献立は、管理栄養士から見ても『出してよい』と言えるもので、領域に特化したエンジンならではの強みである」と語った。

 味の素は、2030年までに目指すアウトカム(成果)として「10億人の健康寿命の延伸」を掲げる。同社は、製品開発や研究開発で培った健康や栄養に関する知見やレシピデータを保有しており、自社のアセットにデジタル技術を掛け合わせることでアウトカムの達成を目指している。

 味の素 R&B企画部 マネージャーの勝美由香氏は「デジタルサービスの開発において、当社の栄養士からよく言われたのは『正しさだけを求めないでほしい』ということ。『栄養学としての正しさ』と『食の楽しみ』を両立して初めて、生活者が満足して栄養を取れる。定量的な部分だけでなく定性的な部分も取り入れることで、当社らしいサービスを提供できるのではないか」と振り返った。

 未来献立が提案する献立の材料には味の素の製品を一部組み込んでおり、同社はサービスを通して消費者との接点を強化し、ひいては製品の購入促進につなげることも図っている。

 「当社はレシピサイト『味の素パーク』を提供してきたが、一つのレシピを検索して離脱してしまう方が多かった。未来献立では今晩/今週の献立を提案することで、レシピよりも一歩踏み込んだところでお客さまとつながることを目指している。レシピでは当社の製品を使っており、購買に必ずつなげる設計にはしていないが、ご愛顧いただけたらうれしい」と勝美氏は説明した。

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