第35回:情シスが“一人以下”の中堅中小企業が減少
今回は「第35回:情シスが“一人以下”の中堅中小企業が減少」についてご紹介します。
関連ワード (「ひとり情シス」の本当のところ、運用管理等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「一人以下情シス」とは、文字通り、情報システムやITの担当者が社内に一人以下の状態のことを指します。専任の「ひとり情シス」に加え、主務とは別に兼任で情シス業務を担当している状態である「ゼロ情シス」も含まれます。
新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから2年が経ちますが、情シスの方たちはリモートワーク環境の構築や事業継続計画(BCP)の準備、モバイル用端末の準備・運用などに忙殺され続けています。ここ数年は情シス人員を増加したい会社は多いという調査結果も出ていたため、動向には関心あるところでした。
調査結果では、専任の「ひとり情シス」や兼任の「ゼロ情シス」の状態であると回答した企業は、100~499人の中堅企業で37.6%でした。中堅企業は、大手企業と同等のIT要件が求められる中、その3分の1以上の企業で情シス要員が一人以下の「一人以下情シス」状態でした。中堅企業では、IT予算の大部分をITベンダーのサポート費用に割り振ることで、ひとり情シスでも社内のシステム管理が成り立っているケースが多いです。
しかし、そのような企業では、概念実証(PoC)などの試行錯誤を伴う取り組みは難しく、結果としてデジタルトランスフォーメーション(DX)などによる事業変革は困難であると想像できます。
中小企業については、中小企業庁の定義による20人以下の「小規模事業者」を除いた99人までの企業を調査しました。専任の「ひとり情シス」や兼任の「ゼロ情シス」と回答した企業は87.4%で、中小企業の多くが一人以下情シスでした。
厚生労働省が毎月発表している「一般職業紹介状況」によると、「情報処理・通信技術者」カテゴリーの「職業別有効求人倍率(パートタイムを除く常用)」は、2022年2月と3月にコロナ流行後で最大の1.59倍になっています。2020年10月の1.26倍を底に回復を続けており、今後もITエンジニアの採用は加速していくと考えられます。
また、ひとり情シス協会が実施した「ひとり情シス実態調査」と「中堅企業IT投資動向調査」によると、中小企業における「一人以下情シス」企業は、2020年の88.9%から微減を続けており、2022年は1.5%減の87.4%でした。中堅企業でも、2020年の39.6%から毎年減少しており2022年は2%減の37.6%でした。
中堅中小企業では、社員一人を採用するだけでも、とても慎重になりがちです。大抵の企業では採用のミスマッチを多く経験にしている上、ミスマッチが発生したからといって大企業のように別部門への異動が難しいからです。そのため、本当に自社が求める人員なのかを相当な時間をかけて吟味しますし、最適な人材に巡り合えるまで探し続けることも多いです。
今回の「一人以下情シス」企業の減少率はわずかなものかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえて、IT化やデジタル化の必要性や情シス人員の重要性に気が付き、タンカーの舵のようにゆっくりでも大きな動きになってくることを期待しています。
ひとり情シス実態調査と中堅中小企業IT投資動向調査は、ひとり情シス協会が中堅中小企業のひとり情シスの実態を明らかにするために、2021年12月に実施した調査です。調査対象は国内の独立系企業や大手企業のグループ子会社を含む1673社で、ITの意思決定に関与する立場の方から回答を集めました。小規模事業者、中小企業者の定義は業界によって異なりますが、ITの観点ではユーザー数が管理工数に影響するため、20人以下の小規模事業者区分を除く21~99人の企業を中小企業、100~499人の企業を中堅企業と区分しています。