第42回:列伝2人目「後方支援型ひとり情シス」
今回は「第42回:列伝2人目「後方支援型ひとり情シス」」についてご紹介します。
関連ワード (「ひとり情シス」の本当のところ、運用管理等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ひとり情シス協会が編集した「ひとり情シス列伝」の第二章は、ひとり情シスとしてゼロからスタートし、現在ではグループ企業にチームメンバーをひとり情シスとして派遣している吉成功さんです。多くのひとり情シスと膝を突き合わせてステップアップを支援しているというとても珍しい存在です。
吉成さんは、ひとり情シスの視点だけでなく、派遣先の経営層との信頼関係の高め方など後方支援の立場としての視点も持ち合わせています。ひとり情シスの姿勢や立ち位置を複眼的かつ客観的に理解されています。また常に最新の技術にアンテナを張り、デジタル戦略として社内に取り込むチャンスを伺っています。
ひとり情シスが期待通りにいかない原因は、周囲のメンバーや上司の認識にあることも多いです。吉成さんが自身の経験を踏まえて提言された「12のひとり情シスの注意点」は、ひとり情シス自身はもちろん、ひとり情シスの採用者や管理者にとっても参考になる内容だと思います。今回はその中から3つを紹介します。
特に意識していることは雑談です。雑談とは、明確なテーマを設けず、ちょっとした仕事の会話のつなぎとして、他愛のない会話をすることと考えています。雑談をしていると、そこからどんどん脱線していきます。最終的には、どっちが本命か? どっちが脱線か? と雑談のテーマも分からなくなるのですが、話をすることによってそれまで全く認識していなかった問題が人知れず解決できていることもありました。
エンジニアのタイプは大きく分けて2つあると思います。1つは、定常のルーチンワークをこなすことができるエンジニアです。例を挙げると、サーバーの監視などをマニュアルに沿って正確にこなすことができる人はこのタイプです。
もう1つは、ソフトウェアの改善点を見つけたときに、技術的なことを能動的に調べて「こう改善すればいいんじゃないですか?」と提案できる開発畑のマインドを持つエンジニアです。ひとり情シスは、定常ルーチン型より、未知の技術知識欲が旺盛な人の方がうまくいくような気がしています。
ひとり情シスはカバーする範囲が広いので、深くは知らなくてもいいのですが、ネットワークやPC、セキュリティなど幅広い領域を知らなくていけません。「ここからここまでが自分の守備範囲です」という発想では、範囲外で予期しないことが起きたときに全く動けなくなってしまいます。「備えよ常に」の気持ちで不測の事態への対応力を養うことが重要です。これは一生のスキルセットになります。
あくまで予算は派遣先での判断になります。われわれは環境が良くなることが判明すれば、ひとり情シスとともに派遣先に提案します。
まず現状確認として、「現在がこうで、提案を実現するには今の守備範囲を超えてこうなります」と現在位置とこれからの方向性、その先の目的地を理解してもらうように説明します。その後、「これだけの手間が省けます」などのメリットを説明します。メリット明確でないと派遣先では導入する意味を見いだせないので、そこに関してはちゃんと噛み砕いて説明しないと稟議書も書けないと思います。恐らく、稟議書を見るのはもっと上の立場の方で現場やシステムことが分からないだろうから、ちゃんと説明するようにします。
現在地点から最終目的地へと道筋をたどりながら俯瞰的にビジネスのメリットを説明できるように、普段の仕事の中でもアンテナを張っておきましょう。