業種特化型「Salesforce Industry Cloud」の特徴と機能–迅速な「Time to Value」を実現
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Salesforceの日本法人であるセールスフォース・ジャパンは9月13日、業種特化型クラウドである「Salesforce Industry Cloud」の最新事情に関する記者説明会を開催した。
冒頭、常務執行役員 インダストリーズ トランスフォーメーション事業本部 本部長を務める石井敏雄氏は、Salesforceがインダストリー特化の戦略強化に合わせ、業種フォーカスのビジネスを拡大していると説明。Industry Cloudの国内の状況としては、金融業界で実績を作り、小売・消費財、ヘルスケア、製造に活用が広がっているという。
この広がりの背景として、石井氏は「Time to Value」を挙げる。スピーディーにビジネス課題を解決する必要がある現代だからこそ、デジタル変革(DX)にもスピードが必要と同氏。Industry Cloudは、業界固有の業務プロセス、業種に適したデータモデルを標準機能として備え、各業界のDXを加速することに貢献できると強調する。
業界向けソリューションでは、業界ごとに顧客の特徴やニーズが異なることから、業界に合わせて在り方を変える必要があるとマーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャーの前野秀彰氏は述べる。
従来、ユーザーは、汎用的なプラットフォームや「Sales Cloud」「Service Cloud」に対して業界に合ったスタマイズを実施していた。Industry CloudはSaaSとして提供され、業界固有のユーザーインターフェース(UI)やロジック、データモデルをバージョンアップ対象となる標準機能として実装する。
Industry Cloudは2016年に提供が開始。その皮切りとなった金融向けサービス「Financial Service Cloud」では、開発期間が25%短縮、Time to Valueが50%高速化、投資利益率(ROI)が188%という導入効果が得られている。「インフレなどにより市場状況が不透明な現在、多くの経営者にとってTime to Valueは共通事項であることから、今の時代に求められるソリューション」(前野氏)
Industry Cloudの他のラインアップとしては、製造業向け「Manufacturing Cloud」、消費材メーカー向け「Consumer Goods Cloud」、医療・ヘルスケア向け「Health Cloud」などがある。直近のアップデートとしては、「Net Zero Cloud 2.0」の国内提供を3月に開始している。Net Zero Cloud 2.0は、企業の環境データを迅速に収集・分析・報告して、温室効果ガス排出量削減につなげる。消費材メーカーによる卸売・小売事業者への販売促進活動のプロセス全体を管理する「Trade Promotion Management」も国内提供に向けて準備中で、2023年の提供を予定している。
Industry Cloudでは、業界固有でありながら他の業界でも共通で活用可能な要素を「Industry Common Component」として提供する。これには、「業界共通のベストプラクティス機能」「高度なデータ処理機能」「複雑な業務プロセスの自動化機能」が含まれる。また、業界固有の基幹システムの容易なインテグレーションも可能だ。これらにより「各業種における圧倒的なTime to Valueを実現する」(前野氏)