自動車やモバイル向け半導体でリードするNXP–成長はエッジ
今回は「自動車やモバイル向け半導体でリードするNXP–成長はエッジ」についてご紹介します。
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九州とほぼ同じ面積に約1753万人(日本の約15%)が住むオランダ。風車で知られるがハイテクの国でもある。半導体ではNXPやASMLがあり、旅行サイトのBooking.comなどのインターネット企業もあれば、カーナビのTomTomもここで生まれた。
7月にオランダ経済・気候政策省 企業誘致局の記者向け視察ツアーに参加し、NXPの本社施設などを訪問した。本稿ではその模様をレポートする。
NXPの本社があるエイントホーフェンの「High Tech Campus」は、オランダの首都アムステルダムから124キロメートル離れた内陸、ベルギーやドイツに近いところにある。このキャンパスは、2003年まで電機大手のPhilipsが研究施設を構えていた場所で、現在はNXPのほか、スタートアップを含む約280社が軒を並べる。オランダの特許の40%がこのキャンパスからだ。
Philipsの半導体事業部門だったNXPは、2006年にスピンオフにより誕生。社名の由来は、「The Next Experience」だ。エイントホーフェンのHigh Tech Campusのほか、製造拠点のあるネイメーヘン、研究施設のデルフトと、オランダ国内には3カ所に拠点がある。
スピンオフから2年後(2008年)の金融危機を乗り越え、2010年には、米Nasdaq市場への上場を果たした。2015年には、Motorolaの半導体部門のFreescaleを買収。Freescaleの半導体は、1969年に「アポロ11号」が月面着陸した際に、宇宙飛行士のNeil Armstrong氏が、「1人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩」と伝えた無線通信で使われたという歴史を持つ。Freescaleを獲得したNXPは、欧州では、ドイツのInfineon Technologies、スイスのSTMicroelectronicsと並ぶ欧州3大半導体企業の1社というポジションだ。
現在のNXPは、30カ国以上で事業を展開し、社員数は約3万4000人。そのうち3分の1がエンジニアだ。事業内容は大きく4つあり、自動車、産業IoT、決済などのモバイル、通信インフラだ。
年間売上高132億ドルの半分以上を占めるのが自動車向けの半導体になる。執行ディレクターのJean Schreurs氏は、「ここ5~10年で製造された全ての自動車にNXPのチップが入っている」と説明する。自動車向けの半導体は、「検知」(レーダー、ビジョン、V2X)、「判断」(処理、センサー、セキュリティ)、「動作」(シャーシ、パワートレイン、ブレーキ)と大きく3つの分野に分かれる。
製造台数という点で、自動車は成長市場ではない。しかし、自動車の電気化・高度化のトレンドは、同社にとって追い風だ。Schreurs氏によると、現在の一般的な車には1000程度のチップが搭載されているが、電気自動車になると、その数は倍増の2000程度になる。ハイエンドの電気自動車には、3000~4000ものチップが搭載されるという。「1台当たりに搭載されるチップ数は増加傾向にある」(Schreurs氏)