「短距離走ではなく長距離走」–オラクルが語る、14年間のD&I
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日本では近年注目が集まっているダイバーシティー&インクルージョン(D&I)だが、Oracleでは14年前からD&Iのプログラムを推進しているという。米国時間10月18~20日にラスベガスで開催された「Oracle CloudWorld 2022」の会期中、ダイバーシティ・アンド・インクルージョン担当グローバルヘッドバイスプレジデントのTraci Wade(トレイシー・ウェイド)氏に話を聞く機会を得た。
D&Iプログラムにおいて同社は、女性従業員を優れたメンターとつなげ、より高い専門性やリーダーシップの獲得を目指す人材開発プログラム「Oracle Women’s Leadership」を実施している。同プログラムは、現在全世界で117のコミュニティーを擁しているという。
また従業員リソースグループ(ERG)も数多く存在し、LGBTQ+の人々への理解を深め、包括的な文化を醸成する「Oracle Pride Employee Network」や、身体に障がいを持つ人々が自身の経験を共有し、サポートを促進する「Oracle Diverse Ability Network」などがある。そして、異なるERG同士の交流「ERGs」にも注力しているそうだ。
D&IについてWade氏は「単体で進めるのではなく、自社の経営戦略に組み込むべき」と強調する。実際、同社のウェブサイトを見ると、「多様な観点はわれわれのアイデアをより良いものにし、チームをより強くする」といった理念が掲げられている。
OracleはD&Iの推進にもテクノロジーを活用している。例えば自社のHCM(人的資本管理)製品でデータ分析を行い、昇進にかかる期間や退職率などを可視化している。また、従業員への調査「Your Voice Survey」を毎年実施し、D&Iの進展度合いを計測。「分析を行うことで、従業員体験について深い洞察が得られるほか、特に注力すべき事項を3つほどに絞ることができる」とWade氏。
D&Iプログラムを進める中で得られた気付きとして、Wade氏は「経営層と連携する重要性」を挙げる。D&Iに進展が見られ始めた時、同氏は自社の取り組みが競合他社と比べてどのような状況にあるのかを経営層に共有し、彼らにも関与させるようにした。「経営層の力を借りることは非常に重要。次第に彼らもD&Iの話をするようになる。当時われわれのチームは5人しかいなかったが、D&Iは世界中の従業員一人一人の責任である」とWade氏は語る。
「当社は、D&Iを短距離走ではなく長距離走だと考えている。文化を進化させ、多様なリーダーを擁するには時間がかかる。われわれは14年間旅を続けてきたが、日々進化して次のステップに進んでいることを考えると、まだ14年しか経っていないともいえる。世界は目まぐるしく変化し、それに付いて行かなければいけないため、ある所まで行ったら終わりということはない。Oracleはまだ旅の途中で、やるべきことは常にある」(Wade氏)
(取材協力:日本オラクル)