第4回:Sales DX総点検–顧客エンゲージメントを高める、真のカスタマーサービス
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第4回では、カスタマーサービスに焦点を当てて説明します。カスタマーサービスとは、「購入前」「購入中」「購入後」というライフサイクルを通して顧客をサポートする活動全般を指します。カスタマーサービスでは、適時・適切なチャネルで顧客に最適な体験を提供することが企業の価値を高める上で重要となります。
しかし、チャットボットをはじめとするデジタルチャネルの活用は進んでいるものの、十分な効果が出ていない企業が多いのも実情です。本稿では、日本におけるカスタマーサービスの現状を踏まえ、顧客視点でのカスタマーサービスの提供方法、その中心となるコンタクトセンターの高度化に向けて論点を解説します。
コンタクトセンター向けのソリューションなどを展開するモビルスが先頃発表した「お客さま窓口の利用頻度調査2022」における「お客さま窓口の対応が購買決定に与えた影響」によると、約56%の顧客がカスタマーサービスの対応に満足した場合は購入・利用を継続するのに対し、対応に不満があった場合は約46%の顧客が離脱してしまう結果となり、カスタマーサービスの満足度が購買決定に大きく影響することが分かります(図1)。
よくマーケティング用語で「1:5の法則」と言われますが、以前から既存顧客の維持・深耕が新規顧客の獲得より重要だと考えられてきました。それがコロナ禍でリアルな営業活動が制限される中、顧客の維持・深耕を行うカスタマーサービスの位置付けが一層重要になっていると考えられます。
これまで多くの企業は、カスタマーサービスの改善に取り組んできました。しかし現状、思うように顧客視点での改善が進んでいないのが実情です。ガートナージャパンが2021年6月7日に発表した国内企業のITマネージャーを対象としたアンケート「日本におけるCXプロジェクトの状況」では、「必要だが未検討/進捗が遅い」「知らない/分からない」「自社には必要なし」を合わせると約8割弱に上り、情報システムの観点から顧客視点での対応が進んでいないことが明確になっています(図2)。
一方、実際の顧客対応の現場ではどうでしょうか。最近、顧客企業の方々から「サービスごとにFAQ(よくある質問)やチャットボットが乱立しており、顧客へのサービス品質の低下を招いている状況をどうすればよいか」と相談を受けることが多々あります。チャットボットなどのデジタルチャネルの導入は各サービス部門が手軽に導入できる反面、顧客への対応に統制が取れないことで、応対品質の低下を招いている状況があります。
これはデジタルチャネルだけの問題でなく、コンタクトセンターや店舗などのリアルチャネルも同様です。企業の多くでは、サービスチャネルごとに管理する組織が分かれています。例えばコンタクトセンター、ウェブサイト(FAQ)、店舗を管理している組織がそれぞれ異なる場合、多くの企業は組織/チャネルごとにカスタマーサービスを検討し、それぞれ独自のシステムやデータを管理しており、顧客対応がサイロ化している状況です。
そのような状況で顧客がサービスチャネルを通じてやりとりする際、チャネルが変わるごとに同じ内容を繰り返し質問し、時にはチャネルごとに異なる回答が提示され、顧客は本当に欲しい答えを見つけるのに時間がかかります。その結果、顧客満足度は低下し、顧客の離反へとつながっているのが現状です。顧客にとっては無関係なはずの企業の組織論理に、いつの間にか巻き込まれている状況となっています(図3)。