インパーバ、小売業界のセキュリティトレンドを解説–“転売ボット”に注意
今回は「インパーバ、小売業界のセキュリティトレンドを解説–“転売ボット”に注意」についてご紹介します。
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Imperva Japanは11月18日、小売業界における脅威の潮流について説明会を開催した。同説明会には、米Imperva 最高技術責任者(CTO)のKunal Anand(クナル・アナンド)氏が登壇し、同社の調査レポート「The State of Security Within eCommerce(2022年版)」を基に、ECを展開する小売企業が抱える3つの脅威を解説するとともに、2022年末~2023年に企業が直面する脅威について予測を述べた。
世界中のECサイトへの全トラフィックのうち、約40%(日本:27.9%)は人間ではなくボットによるアクセスである。サイバー犯罪者が悪用しているケースも多く、過去1年間におけるECサイトへの全トラフィックのうち、約4分の1(全世界:23.7%、日本:19.3%)が悪性ボットによるものだった。悪性ボットは、自動化機能を通してオンライン詐欺に加担する。中でも最新の手法を用いて人間の行動を模倣し、検知をすり抜ける高度なボットは、ボットトラフィックの31.1%を占め、前年の23.4%から増加した。
分散型サービス拒否(DDoS)攻撃も急激に増えている。DDoS攻撃では、ネットワークやアプリケーションインフラストラクチャーに大量のトラフィックを送り、重要業務の妨害を試みる。こうした攻撃は、ボットをネットワーク化した「ボットネット」を活用して自動化しているケースが多い。DDoS攻撃を受けた小売企業は、アプリケーションにダウンタイムが発生し、ウェブサイトの障害や収益の損失につながる恐れがある。
小売企業のウェブサイトとアプリケーションへの全トラフィックのうち、APIからのトラフィックは41.6%、うち12%は認証情報やID番号などの個人データを保存したデータベースなどのエンドポイントを送信先としている。APIトラフィックの送信先の3~5%は、セキュリティ担当者が存在を認識していない、もしくはセキュリティ保護の対象外となっている、文書化されていない「シャドーAPI」であると考えられるという。
攻撃者はボットネットを使い、公開中のAPIや脆弱(ぜいじゃく)なAPIを標的に不要なトラフィックを送り、脆弱なアプリケーション、決済情報や認証情報などのデータを探し出す。APIへの攻撃は2021年9~10月にかけて35%、11月には22%増加している。
小売企業では近年、SQLデータベースの代わりにデータウェアハウスやデータレイクを利用しており、この動きがセキュリティ上の課題となっている。「企業はデータがどこに保存されているのかを把握しきれていない。データの目録をきちんと取っておらず、データの抜き出しというリスクが高まっている」とAnand氏は指摘した。
盗み出されているレコード(データベースにおける1行分のデータ)の量は、毎年224%増加している。攻撃者の手口も巧妙化しており、ランサムウェアなどを使って重要なデータを盗んでいる。
データセキュリティの分野では、多くの法規制やそれに対する順守も注目されている。過去1~2年、日本の小売企業ではデータセキュリティに大きな注目が集まっており、同分野への投資は160%増加している。その背景には、個人情報保護法の改正があるという。同規制により、情報の開示やアクセスの管理が一層求められている。クラウドの普及も、データセキュリティへの投資増加を後押ししている。
Impervaは、2022年末~2023年に小売企業が直面する脅威について、2つの予測を発表した。1つ目は、ボットによるECサイトへの攻撃。この攻撃は2021年10月に10%、11月には34%増加しており、小売業界の繁忙期であるホリデーシーズンに向けて拡大していると見られる。特に、アカウントの乗っ取りや人気商品を大量に購入して転売する「グリンチボット」が懸念されている。
2つ目は、APIを介したデータの抜き出し。2023年には数百万ものレコードが盗まれると同社は推察する。APIはEC事業で普及しているため、ハッカーにとって最大の標的となる。APIはデータのすぐ上に存在するため、APIへの攻撃は企業が持っている大量のデータにアクセスすることを意味する。Anand氏は「既に世界各地において、APIを介したレコードの抜き出しが何千万という単位で確認されている。企業にはアプリケーションだけでなく、APIの保護にも注力してもらいたい」と述べた。