KDDI、IoT向け冗長化サービスを発表—大規模通信障害を踏まえ対処
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KDDIは11月24日、「IoT向け冗長化ソリューション」の提供を発表した。12月23日から利用の申し込みを受け付ける。7月に発生した大規模な通信障害を踏まえた対応の一環になるとしている。
同社は、2日に行った2023年3月期第2四半期決算説明の中で、通信基盤の強靱(きょうじん)化とBCP(事業継続計画)対応の強化を表明。ソラコムと連携したIoT向けの通信回線の冗長化に取り組むことを明らかにしていた。今回のサービスがそれになる。
IoT向け冗長化ソリューションでは、主回線として同社のauサービスのSIMと他の通信事業者によるバックアップ回線のSIMを用いるデュアルSIM型、1つのSIMで主回線とバックアップ回線を切り替えるシングルSIMの2タイプを用意。それぞれのタイプに対応したルーター機器の提供と保守、管理コンソールをKDDIが一括して提供する。
万一主回線のKDDIで障害が発生してIoT機器の通信ができなくなった場合は、自動的にバックアップ回線に切り替わる。シングルSIMタイプについては、ローミング時に海外の通信事業者に接続できるプロファイルの仕様を活用するという。
ルーター機器は、シングルSIMタイプではAM Telecomの「AMT 5500」を採用し、買い切り型で保守はセンドバックでKDDIが対応する。デュアルSIMタイプでは古河電工の「FITELnet F71」もしくはシスコシステムズの「1000シリーズ ISR」を選択でき、KDDIがオンサイト保守で対応する。
管理コンソールでは、SIMの発注や利用の開始・中断・解約、通信料の確認や通信速度の設定などを1つの画面から行えるとしている。また、いずれのタイプでも閉域網接続を対応できるようにする。
7月2日未明に発生した通信障害では、最大3915万回線に影響し、このうちIoT回線は最大150万回線に影響が出たとする。これにより銀行のATM(現金自動預け払い機)や交通系などのキャッシュレス決済などができなくなったり、救急や運輸・物流、遠隔監視などの業務に支障が発生したりするなど多方面で影響を及んだ。
同日記者会見した5G・IoT サービス企画部の野口一宙氏によれば、他の通信事業者回線を用いた冗長化は、固定系では対応が進んでいたものの、無線系では個別対応だったとのこと。大規模障害の反省を踏まえ、まずIoTシステム向けに冗長化のソリューションをパッケージ化し、同社がワンストップで提供することにしたという。
バックアップ回線はNTTドコモもしくはソフトバンクになり、障害発生時の通信状態を踏まえて自動的に接続先を判別するとしている。平時はバックアップ回線の通信料金が発生せず、バックアップ回線使用時にだけデータ量に応じた従量課金での費用が発生する。
バックアップ回線への切り替えあるいは主回線への復旧の判断基準などは、現在標準の仕様を調整しているとのことだが、ユーザー側でも調整可能にすることを検討しているという。