第3回:事例から考える顧客体験管理のキー要素
今回は「第3回:事例から考える顧客体験管理のキー要素」についてご紹介します。
関連ワード (ビジネスからIT基盤を考える--顧客中心主義のIT基盤の作り方、ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
購買行動のデジタル化が進むのに連れ、顧客が企業に求める“期待値”は日に日に高くなっています。またデジタルチャネルも、アプリやブラウザー、メール、SNSと多様化し、使うデバイスも複数にまたがっているため、1人の顧客の行動や体験もより複雑になっており、これが管理を複雑にしています。
今回は、さまざまな顧客行動のケースから適切な顧客体験管理を行うために必須となるキー要素を考えていきます。
前回は「顧客体験」について詳しく見ていきましたが、今回はその「顧客体験」を「管理する」という点について考えていきます。
さて、顧客体験管理はなぜ必要なのでしょうか。一言でいえば「顧客の期待・利便性を損なうことなく、必要な人に、必要なタイミングで、円滑にコミュニケーションするため」です。「売り上げや収益が上がる」でもなければ、「黙っていても売れるようになる」というわけでもなく、「それだけの効果しかないのか」と、がっかりしたかもしれません。
ただ、多くの企業が「顧客の期待や利便性を損なわずに、必要な人に必要なタイミングで、円滑にコミュニケーションできているか」といえば、必ずしもそういうわけではありません。誰に向けて発信しているか分からないテレビCMを延々と続けたり、嫌がられているにもかかわらず、同じ人にリターゲティングを繰り返したりなど、訴求努力と効果が必ずしも見合っていないケースが散見されます。
それだけでなく、製品購入に際してサポートが必要になり、チャットでカスタマーサポートにコンタクトを取ったところ、すぐに適切なスタッフとつながらなかったり、話がなかなかかみ合わなかったりなど、顧客満足度が低下するようなコミュニケーションもあります。こうした結果、顧客が離反したり、ネガティブな口コミが流れたり、ひいては売り上げにマイナス影響が出たりするなど、残念な結果につながることも珍しくはありません。
顧客体験管理は、こうした一つ一つの顧客体験をマネジメントすることで、顧客の不利益を解消し、必要なタイミングで必要な情報を提供して顧客の疑問や困り事、ニーズを解消していくための取り組みです。それは最終的には、企業の姿勢や営業活動にも反映され、成長や拡大につながる取り組みだといえます。
顧客体験管理を考える際には、企業目線ではなく、自分が一人の消費者になったつもりで施策を考えることがポイントです。
例えば私たちは、新しい商品のことを知りたかったり、困り事の解決策を調べたりするために、スマートフォンやPCを利用します。スマートフォンのブラウザーで検索したり、より詳しい情報を得たいときにはPCを立ち上げて別ブラウザーで検索したり、ときにはメールやコミュニケーションアプリなどを使って直接企業に問い合わせたりします。昨今は電話よりも気軽に尋ねられるチャット機能も人気で、よく利用されています。
自分が消費者の目線で見ると、これだけの活動を事前にしているわけですから、「企業側もそれを認識して適切なコミュニケーションをしてほしい」と思います。ただ、中には「ウェブやメールで得られた回答では分からない点があったので、電話で同じ説明を繰り返したところ、ようやく問題を認識してもらうことができた」と、何度も同じ手続きを経てようやくスタートラインに立てる、ということが往々にしてあります。すなわち、複数のチャネルの情報がリアルタイムに連携されておらず、顧客に不快感を与えているわけです。
今日、企業の窓口が電話やメールだけということは非常にまれです。BtoC企業なら、LINEやTwitterの公式アカウントを運用しているところも多く、チャット機能も普及しています。これらは全て、顧客の利便性やコミュニケーション向上を目的に運用しているチャネルだと思いますが、肝心のチャネル間の情報がリアルタイムに連携されていなければ、逆に顧客の満足度は低下してしまいます。「アカウントを開設しただけ」では、逆効果になることもあり得るのです。
そして顧客側も、1つのデバイスだけで企業とコミュニケーションしているわけではありません。PCもあればスマートフォン、タブレットなど、「身近にある今すぐ使えるデバイス」で企業の商品やサービスを調べたり、問い合わせをしたり、メールを送ったりしています。複数のチャネル、デバイスが混在化する中、顧客側から見ると「同じことを何度も言わせないでほしい」と感じる場面が増えているわけです。
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2021-02-25 23:53某所のレポートを書くために、ビッグデータの残酷な現実を読み返している