中堅企業3社が進めたDXプロジェクトの成果に見る知見と可能性

今回は「中堅企業3社が進めたDXプロジェクトの成果に見る知見と可能性」についてご紹介します。

関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 デル・テクノロジーズは11月24日に「第2期中堅企業DXアクセラレーションプログラム 成果発表会」を開催した。同社は2020年2月からデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の一環として同プログラムを実施している。

 同プログラムに協力してきた奈良先端科学技術大学院大学(NAIST) 先端科学研究科 教授 松本健一氏は「回を重ねるごと皆が取り組む課題へのアプローチに広がりや多様性が増えている。成果発表も他社企業のプレゼンテーションを聞いて気付きがあり、次につながるだろう。成果を全員で共有し、さらなる発展を目指したい」と挨拶した。ここでは3社のプレゼンテーションを紹介する。

 弁理士法人オンダ国際特許事務所の代表者である弁理士の恩田誠氏が経営するオンダテクノ(岐阜県岐阜市、グループ従業員数309人)はこの1年、「AIを活用した“文章チェック”の実現」に取り組んできた。1968年4月1日に創業した国際特許事務所は、特許庁に提出する書類が多いときで1件400ページにおよび、担当部署は設けているものの、全ページの文章確認に多くの工数をかけている。

 同社は「主語が存在しない文章をチェックする機能の実現」「両義文が存在する文章をチェックする機能」「PythonとAIが利用できる3人のDX人材の育成」を具体的な目標として取り組んできたが、前回(9月の中間報告会)はパフォーマンスの向上と両義文の確認が課題だと報告していた。

 その結果、主語の有無を判断する機能開発に成功し、現在は業務システムに組み込んでいる。

 前回の課題だったパフォーマンス問題は、基幹サーバーに「Apache2」とPython向けウェブアプリケーションフレームワーク「Flask」を設定したLinux仮想マシンを構築し、Python経由でプログラムを実行することで改善。あわせてAIが誤認識する可能性を低下させるため、主語の認識精度が高いモデルを利用すると、従来10~20%発生していた誤認識は1~2%まで低減した。

 しかし、両義文の確認は残念ながら断念している。担当者は「NAISTの先生から、AIを利用した両義文の判断は研究段階。現状で既存の業務システムに組み込んで利用できる内容ではないとお聞きした」と説明した。

 最後のDX人材育成は目標の3人を上回り、4人の人材育成に成功している。インターネット上のPython練習問題に取り組みつつ、機械学習を応用した光学文字認識(AI OCR)の開発や前述のLinux仮想マシンを構築した。今後はAIやPythonを活用した翻訳サーバーの構築を目指す。

 不動産再生と活用を主な事業とするサンフロンティア不動産(東京都千代田区、単体従業員数696人)は「不動産データ基盤プロジェクト」に取り組んできた。事業用不動産の付加価値を可視化して、将来の正確な賃料予測を目的としている。

 立地や物件、契約の各条件を採点化し、結果を説明変数、賃料を目的変数とした重回帰分析に挑戦してきたが、同社担当者は前回「市場データの収集分析だけでは難しいとの結論に至った。各物件の体系的にまとめたリニューアル内容など、市場にないデータを創出し、抽出データから付加価値の向上に取り組んでいく」と説明していた。

 今回何らかの成果に至ったのかといえば答えは否。

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