特化型のバックオフィス向けサービスがトレンド–スマートキャンプ「SaaS業界レポート2022」

今回は「特化型のバックオフィス向けサービスがトレンド–スマートキャンプ「SaaS業界レポート2022」」についてご紹介します。

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 スマートキャンプは1月25日、同社が提供する「SaaS業界レポート2022」を基に、取締役執行役員 最高執行責任者(COO)の阿部慎平氏がSaaS業界のトレンドについて解説した。同レポートは、SaaS活用の促進、ビジネスの発展を目的に国内外のSaaS業界の概況についてまとめたもので、2017年から提供している。

 阿部氏によると、同レポートのSaaSカオスマップ掲載数は開始当初である2017年版の396件から増加し、2022年版では950件以上に上った。新サービスの勢いがある一方で成熟したカテゴリーでは淘汰(とうた)や統合が進んでいるという。

 今回の2022年版では、「法改正対応」「ノーコード/ローコード」「SaaS for SaaS」の3つが、SaaS業界に大きな変化をもたらしているという。法改正対応では、インボイス制度やデジタル改革関連法などを背景に、特にバックオフィス向けのサービスがより特化、あるいは電子化が大きなトレンドになるとしている。

 例えば契約システムの中でも、電子上で契約するシステムだけでなく、「レビュー」と「管理」にサービスが細分化している。また、帳票システムも活発で、請求書や見積書を受領することに特化したSansanが提供する「Bill One」やLayerXの「バクラク請求書」、マネーフォワードの「マネーフォワード クラウドインボイス」などが登場してきている。

 ノーコード/ローコード開発プラットフォームの拡大も続くという。ノーコード/ローコードでは、WordPressが提供するウェブサイト構築「WordPress」やヤプリのモバイルアプリ構築「Yappli」、zapierが提供するSaaS接続(iPaaS)「zapier」などの特化型と、サイボウズが提供する業務アプリ構築「kintone」やマイクロソフトの「Microsoft PowerApps」などの汎用(はんよう)型のサービスが拡大している。特にエンジニア不足はグローバル共通の課題であるため、ノーコード/ローコードの需要は高まるのではないかと、阿部氏は予測した。

 またSaaS市場の拡大に伴い、SaaSを活用するためのSaaS(SaaS for SaaS)や、SaaSの選定、SaaSをクラウドで購入できる「SaaSマーケットプレイス」が注目を浴びている。SaaSマーケットプレイスは日本市場ではそこまで注目度は高くないが、米国ではSaaSをクラウドで購入するプラットフォームが広く利用されているという。

 また、SaaS for SaaSについては、情報システム部門の管理が及んでいないSaaS(シャドーIT)やコスト増大などの課題を抱えるSaaS利用企業の間で、利用状況を可視化できる「SaaS管理ツール」に関心が集まっている。SaaS事業者向けには、サブスクリプション管理ができるシステムや、SaaSに組み込む共通基盤として、決済、顧客管理システム(CRM)などのSaaSを導入する企業が増加しているという。ほかにも、SaaSとSaaSをつなぐ「iPaaS」やSaaSの開発者向けサービスや運用支援のサービスも増えている。

 スマートキャンプが運営するSaaS比較サイト「BOXIL SaaS」の資料請求から、ユーザーのSaaS導入検討動向を見ると、ウェブ会議ツールやビジネスチャットなどのコラボレーションツールが2021年度と比較すると9.4%減少した。これは、コロナ禍直後に導入を検討した企業が多く、2022年においては一度落ち着いたために減少したという。

 一方、CRMやマーケティングオートメーション(MA)など、マーケティングに必要なサービスは12.7%の増加、また人事向けサービスは、法改正による影響により26.7%増加した。今後、人的資本の開示義務化によるタレントマネジメントサービスの導入や、リスキリングによるeラーニングの活用で、HR領域のSaaS導入が伸長すると予測している。なお、バックオフィス領域におけるSaaS導入検討は、インボイス関連で導入が続き20.4%増加した。

 阿部氏は、今後のSaaS市場について「直近ではSaaSの市場環境は回復しており、資金調達も活発に行われている。特に上場直前の企業では大型の資金調達ができている。また、SaaS企業の年間経常収益(ARR)とARR成長率は安定しており、今後も変わらずSaaSの市場規模も拡大していく」とコメントした。

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