第5回:サプライチェーン強靭化のステップ
今回は「第5回:サプライチェーン強靭化のステップ」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、今こそ考えるサプライチェーンリスクマネジメント等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
前回は、サプライチェーンリスクマネジメントにおける、リスクが顕在化した際の「非常時の活動」について解説しました。今回は「平時の活動」である、サプライチェーン強靭化について説明します。
自社のサプライチェーンを強靭なものにしていくには、下記の4ステップを回すことが必要になります。一つ一つ見ていきましょう。
まず取り組むべきことは、サプライチェーンの可視化です。しかし、現代のサプライチェーンは非常に複雑化・多層化しているため、これを徹底することは容易ではありません。
ティア1、ティア2、ティア3・・・と階層が多くある業界では、原材料までさかのぼっていくことは困難な場合が多くあります。グローバルな調達では、間に商社などが入ることでその先のサプライヤーが見えづらくなる場合もあるでしょう。従来は「ピラミッド構造」をなしていたと考えられていたものが、あるサプライヤーが別の系列にも供給する「ダイヤモンド構造」を形成しているケースも多くあることが、東日本大震災後の調査で判明しました。このようなケースでは、サプライヤーが情報を秘匿したがる傾向があります。
多層化したサプライチェーンをいかに可視化すればいいでしょうか。自動車業界における先進的な取り組みを紹介すると、まず、比較的経営リソースのあるティア1サプライヤーにティア2以下のサプライヤーの可視化作業を依頼します。ティア2以下の企業では、サプライチェーンリスクマネジメントに専従する人的リソースを確保するのが難しいためです。
ティア1サプライヤーは、自社が完成品メーカーに納入する部品のうち、調達リスクが高いものについて、手間をかけて情報を収集します。しかし、階層は、深ければ8層以上となることもあります。そのような場合、3~4層までにとどめる、対象品目を絞るなどの対応を取ることもあり得ます。また、情報開示を望まないサプライヤーもいるでしょう。その場合には、契約で供給再開までのタイムリミットを決めて、遅れるとペナルティーを課すなどの仕組みで、サプライチェーンの復旧をコミットさせるというのも現実的な対応です。
可視化にはさまざまな困難が伴いますが、そこをやり切って「どこでインシデントが起こると、どのような影響がどこに及ぶのか」をできるだけ細部まで把握できるかどうかが、サプライチェーンリスクマネジメントの成否を大きく左右します。可視化をサポートするソフトウェアやソリューションの導入も一考に値するでしょう。
自社のサプライチェーンに存在するリスクを分析し、どこに脆弱性があるのかを特定するステップです。サプライチェーンに影響を与えるインシデントは、自然災害、工場や倉庫の火災、システム障害、輸送上のトラブルなど多岐にわたりますが、それによって発生するリスクを大きく分類すると下記のようになります。