出前館がシステム基盤刷新–トランザクション処理性能を2倍以上に強化
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出前館は「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた製品群「Oracle Engineered Systems」を採用し、同社サービスのシステム基盤を刷新した。日本オラクルが3月22日に発表した。
新たなサービス基盤は、OCI上の「Oracle Exadata Database Service」「OCI GoldenGate」に加え、オンプレミスの「Oracle Exadata」「Oracle Zero Data Loss Recovery Appliance」で構成されている。注文のピーク時にも機会損失にならないよう、性能、安定性、可用性を強化した。
デリバリー事業を行う出前館は、2000年のサービス開始以降成長を続け、全国でビジネスを展開している。近年では日用品や生鮮食品を即時配達するクイックコマースにも参入し、生活インフラとしてサービスを展開している。同社はコーポレートミッションとして「テクノロジーで時間価値を高める」を掲げており、顧客のニーズを捉えてユーザー体験(UX)を改善するため、情報システムの刷新も積極的に進めている。
コロナ禍以降、出前館の需要は急速に高まり、加盟店舗数は10万店以上、アクティブユーザー数は約850万人に上る。これに伴いサービスを支えるシステム基盤への負荷も想定以上に高まり、ユーザーや加盟店の利便性を損なうことなく、高いパフォーマンスで安定稼働するシステム基盤の再構築が急務となっていた。
出前館のサービスを支えるシステム基盤は、注文を受けて配達するまでのトランザクションを処理する更新系のデータベース、これを同期した参照系データベースで構成されている。従来は更新系に「Oracle Database Appliance」、参照系には他のクラウドベンダーが提供するマネージド型のリレーショナルデータベースを採用し、同ベンダーのレプリケーションサービスを用いてデータを同期していた。
出前館ではサービス利用の急速な拡大に伴い、この構成での処理がひっ迫したため、現在の2倍以上のオーダーを処理できるシステムが必要となった。同社は、更新系にオンプレミスのExadata、参照系にExadata Database Serviceを導入し、安定したサービス提供に不可欠な高性能・高可用性を実現した。
更新系と参照系のデータ同期には、GoldenGateを採用。同サービスは大量の更新差分データをリアルタイムにレプリケーションできるフルマネージド型のクラウドサービスを従量課金で利用でき、コストパフォーマンスにも優れているという。更新系データベースのバックアップとレプリケーションにはデータ保護専用のエンジニアドシステム「Oracle Database Zero Data Loss Recovery Appliance」を導入し、徹底的にデータロスを排除する仕組みを構築した。
新たなシステム基盤は、日本オラクルのコンサルティングサービス部門が構築から移行まで支援し、2023年1月に稼働を開始した。移行においてサービスへの影響は一切なく、最小限のダウンタイムでスムーズに行えたという。出前館は、アプリケーション開発の最終的なテストを行うステージング環境にもExadata Database Serviceを導入し、開発リソースの柔軟な配分とコストの最適化に取り組んでいる。システム基盤刷新における次の段階では、こうした環境を存分に生かしてアプリケーションレイヤーでの素早い開発を促進し、UXのさらなる向上に注力するとしている。
出前館 執行役員 プロダクト本部 本部長の米山輝一氏は、次のようにコメントしている。
「お客さまや加盟店にご不便をおかけしない処理性能と安定性を実現することを最優先とし、システムを更改した。Exadataのパフォーマンスには、大いに期待している。従来のシステムで課題だった更新/参照系間の遅延のないデータ同期もGoldenGateで実現した。参照系データベースをExadata Database Serviceでクラウド化し、ハイブリッドクラウド構成にしたことで、コストの最適化も見込まれている。ビジネス機会を損なわない安定性と可用性を確保し、現在のビジネス状況に合った投資ができた」