ITインフラはシンプルに、ITとOTも融合–シスコのネットワーク幹部が語る方向性
今回は「ITインフラはシンプルに、ITとOTも融合–シスコのネットワーク幹部が語る方向性」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
シスコシステムズは4月11日、記者懇親会を開き、米国本社で企業ネットワークとクラウド事業を統括するエグゼクティブバイスプレジデント 兼 ネットワーキング担当ゼネラルマネージャーのJonathan Davidson氏が、ITインフラやITとOT(制御系技術)など同社のネットワーク戦略の方向性について説明した。
まず同氏が挙げた方向性の1つは、「ITインフラのシンプル化」になる。昨今の企業のITインフラは、オンプレミスとクラウドを組み合わせるハイブリッドモデルが広がり、それに伴ってネットワーク環境も非常に複雑化している。同氏は、現在のITインフラが多様化する働き方やコラボレーションを担う重要インフラと位置付け、複雑化する状況においてトラブルなどの際に問題発生部分の把握や改善などの運用も困難になっていると指摘した。
Davidson氏は、ここでのキーワードとして「ユニファイドエクスペリエンス」(統合された体験)を挙げた。オンプレミスやデータセンター、クラウドに分散する各種ITインフラのネットワーク接続性を高めつつ、“シンプル”に運用管理できるようにすることが方向性だという。
一例として2022年6月には、同社のスイッチ製品「Catalyst」シリーズの機器をクラウドベースのネットワーク管理サービス「Cisco Meraki」を連携させ、クラウドベースの運用管理ダッシュボードから各種環境に分散しているCatalystを含むネットワーク機器を一元的に管理できるようにした。今後はセキュリティ対策機能なども対応を図り、複雑なネットワーク環境をよりシンプルに運用できるようにしていくとした。
また、AIを活用したシンプル化の方向性にも触れた。ここでは、2020年に買収したThousandEyesのWAN監視などの技術を活用し、ネットワーク状態の可視化とAIによる改善施策の提案や施策の自動的な適用といった運用の負荷軽減を目指していくとする。この他にもセキュアアクセスサービスエッジ(SASE)ソリューションの「Cisco+ Secure Connect」とMerakiを組み合わせたクラウドベースのセキュリティ対策運用のシンプル化にも取り組んでいるとした。
Davidson氏は、もう1つの方向性としてIoTも挙げ、ここでは「モバイルIoT」と「インダストリー 4.0」に触れた。モバイルIoTとは、自動運転車両といったインターネット接続する移動デバイスなどを指すとし、Davidson氏は、同社のソリューションを通じて約60プラットフォームに2億台ものモバイルIoTデバイスが接続されていると明かした。
同氏によれば、現状でインターネット接続しているのは移動デバイス全体の10%程度だが、2030年代には大半がインターネット接続される予想だという。現時点では「インフォテインメント」と呼ばれるナビゲーションやエンタテイメントなどのサービスが中心だが、将来的にデバイス制御などの高度なサービスも含まれていくとし、同社では、例えば国を超えた先でも現地の通信事業者のネットワークへシームレスに接続されるといったような仕組みを通信事業者やデバイスメーカーらと構築しているという。
インダストリー 4.0については、例えば、独自の技術仕様などが多い生産設備にITの技術を取り込み、データを高度に活用して生産性を改善するといった取り組みなどが世界各地で進行している。Davidson氏は、一例として、生産設備を支える産業制御システムの通信環境とサイバーセキュリティ技術を組み合わせていくことによる産業用インフラ強靱(きょうじん)化の取り組みを紹介した。
ここでは、IT(情報系システム)とOT系システムの融合という方向性も注目されている。具体的な在り方などはさまざまな形が議論されているが、「10年ほど前にデータセンターの仮想化統合というテーマが議論され具体化していったように、(スタンドアロンで稼働しているケースが多い)生産設備で(高性能な演算処理といった)ワークロードが増えていくとすると、将来はこれを仮想統合して集中管理した方がより効果が高まるといったことが考えられる。そのようなアーキテクチャーを構想したり、推進する人材を育成したりしていくこともテーマになるだろう」(Davidson氏)との見方を示した。