日鉄ソリューションズ新社長が語った「これからのSIerの姿」とは
今回は「日鉄ソリューションズ新社長が語った「これからのSIerの姿」とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日鉄ソリューションズ 代表取締役社長の玉置和彦氏と、弥生 代表取締役 社長執行役員の前山貴弘氏の発言を紹介する。
日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)の社長に4月1日付で就任した玉置(たまおき)氏は、同社が先頃開いたブリーフィング形式の記者会見で抱負などを語った。冒頭の発言はその会見の質疑応答で、システムインテグレーター(以下、SIer)の在りようについて聞いた筆者の質問に答えたものである。
玉置氏は1961年生まれ、愛知県名古屋市出身。一橋大学法学部を卒業し、1985年に新日本製鉄に入社し、八幡製鉄所の人事担当としてキャリアをスタート。2001年にNSSOLへ移り、基盤ソリューション第三事業部 営業部長を経て、2006年に人事部長、2015年に執行役員、2018年に取締役 執行役員、そして2021年に取締役 常務執行役員として人事をはじめ営業、管理、企画、財務、法務・知財などの部門を統括し、前社長の森田宏之氏の「番頭役」を務めてきた。
玉置氏は会見で、NSSOLが2021年度(2022年3月)から5カ年計画で進めている「2025中期事業方針」に則って経営の舵取りを行っていくことを明言。2025中期事業方針の概要は図1の通りである。
同氏はこの方針について、「ポイントは、市場成長率を上回る事業の成長率と共に、その中でも4つの注力領域については10%以上の成長を目指すと明示している点だ。そのためにも図の下段に記しているように、積極的な成長投資を行っていくことも明らかにしている」と説明した。
同氏の話で興味深かったのは、図2に示した人材投資の考え方だ。「人材力は事業成長のドライバーとして最重要」との考えから、これまで継続的に一定規模の採用を行ってきた。2024年の採用は図の左上に記されているように、過去最大規模の年間200人を計画しているという。その上で、「これから特に強化していくのはキャリア採用。これまでは特定領域の補充が中心だったが、これからは先行投資によって戦略的な採用活動を行っていくつもりだ」と述べた。
人材投資の話に力が入ったのは、自身のキャリアのスタートと共に、人事の責任者を長年務めてきたからこその「一家言」があるからだろう。
さて、会見の質疑応答で筆者が尋ねたのは、「SIerという業態についてどのように見ているか」だ。質問した背景には、「アズ・ア・サービス」の台頭などでビジネスモデルの転換を迫られているとの見方もあるからだ。これに対し、玉置氏は次のように答えた。
「社会インフラを支えてきたシステムインテグレーション(SI)の仕事は、これまでもこれからも非常に重要だと思っている。一方で、SIの在り方をどのように効率化し標準化してサービス化することで、お客さまに新しい価値を提供していけるか。私たちの今後の課題として対応していく必要があると考えている」
冒頭の発言はこのコメントから抜粋したものである。とりわけ、「社会インフラを支えてきた」の部分の語気が強かったのが印象的だった。