「デジタルデータはカーボンニュートラルではない」–ピュア・ストレージ

今回は「「デジタルデータはカーボンニュートラルではない」–ピュア・ストレージ」についてご紹介します。

関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ピュア・ストレージ・ジャパンは、同社が日本企業を対象に実施した調査「変革の原動力:日本企業におけるAI導入に伴うエネルギーとデータ需要への対応」の結果を発表した。

 主な調査結果としては、「AI導入における電力消費・放出熱増加について、『事前に準備・対応していた』との回答は51%」「AI導入前の課題は、28%が『人員・人材不足』、24%が『知識・経験不足』」だった。

 導入後の課題は「『人員・人材の増員』(36%)に続いて『AI対応のインフラの不足』(27%)」「AI導入後にITインフラのアップグレードが必要になったと回答したのは55%」「48%が『ITインフラの整備なしでAI導入した場合にはAIを効果的に活用できない』と回答」といった内容が紹介された。

 同調査の結果を踏まえてグローバルでのトレンドについて紹介を行った米Pure Storage アジア太平洋・日本地域担当VPのNathan Hall(ネイサン・ホール)氏はNVIDIAが2024年3月に発表した「NVIDIA Blackwellプラットフォーム」の消費電力量が「ラック当たり125キロワット」だと紹介し、NVIDIAがAIデータセンターインフラとして開発・提供している「NVIDIA DGX SuperPOD」ではNVIDIA BlackwellGPUを搭載したNVIDIA DGX B200システムを最大で44ラック接続できることから、そのシステムでの消費電力量が「システム当たり最大5.5メガワット」に達すると指摘した。

 Hall氏はデータセンター事業者の「10年前は3メガワットの契約を検討していたが、今では10~15メガワット、中にはそれ以上の契約もある」というコメントを紹介し、10年前にはデータセンター全体の消費電力量に当たる電力が、最新のAIプラットフォームでは一つのシステムで消費されるようになっている現状を指摘した。

 同時に、AIで利用されるデータ量も爆発的な増加を続けているが、デジタルデータを格納するストレージシステムが電力を消費することを踏まえて同氏は「デジタルデータはカーボンニュートラルではない」と指摘し、急増したAI処理のニーズに関連して電力消費量や電子廃棄物の増加といった課題に対する解決策を真剣に検討する必要があると強調した。

 Hall氏はPure Storageの製品が「持続可能なITを見据えた設計」となっていることを強調。競合他社と比較しても多額の研究開発投資を継続的に行っていることを踏まえて「物理的およびカーボンフットプリントを提言する高いストレージ密度」「消費電力の削減が可能な、エネルギーおよび熱効率に優れた設計」「モジュール形式のEvergreenコンポーネントによる電子廃棄物の削減」といったメリットが得られるとした。

 続いて、調査結果の詳細説明を行ったピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏は重要ポイントして「AI対応のインフラの重要性」を指摘し、AIに対応したインフラの整備に取り組むことなくAI活用に踏み切ってしまうことで、企業として対外的に公表しているESG(環境・社会・ガバナンス)目標が達成できなくなるなどの問題が生じるリスクがあることを指摘した。

 AIが急速に話題の中心に躍り出たことでESGが話題に登ることは少なくなった印象もあるが、AIの利用が急速に拡大するとともに、大量のGPUが消費する膨大な電力量が課題となりつつある。

 ESG目標に関してはやや政治的/意図的なニュアンスも感じられなくはないが、現実にGPUサーバを運用するために必要な電力量の確保が難しくなってきたり、電力コストが重い負担となりつつあったりするなど、深刻な課題として問題意識が高まってきているのは間違いないだろう。また、ややうがった見方をすると、ハードディスクドライブ(HDD)に対するオールフラッシュストレージのアドバンテージとして電力効率の高さを改めてアピールしたい意図もあるかもしれない。

 2023年の同社年次カンファレンス「Pure//Accelerate 2023」ではPure Storage 最高経営責任者(CEO)のCharles Giancarlo(チャールズ・ジャンカルロ)氏が「2028年までにHDDの新規販売は終了するだろう」と宣言しているが、その後HDD側での技術革新として熱アシスト磁気記録(HAMR)が実用化されたことでHDDが再び成長モードに突入するとの見方も出ている。

 とはいえ、HAMRによって更なる大容量化が実現し、バイト単価を引き下げられたとしても、物理的に稼働する以上電力効率でフラッシュを上回ることはできないだろう。これまでは性能を取るか価格を取るかという判断がされてきたが、今後はさらに「総電力消費量をどうやって削減していくか」という観点もハードウェア選定の際の検討要素としてこれまで以上に重要視されるようになる可能性がある。

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