テラスカイ、成長領域への先行投資を継続–中期経営計画を見直し

今回は「テラスカイ、成長領域への先行投資を継続–中期経営計画を見直し」についてご紹介します。

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 テラスカイは4月14日、2023年2月期決算を発表した。売上高は前年比22.8%増の154億4000万円、営業利益は22.3%減の5億1200万円、経常利益は7.8%減の6億1000万円、当期純利益は13.3%増の3億4700万円となった。代表取締役CEO(最高経営責任者) 社長執行役員の佐藤秀哉氏は、「業績が大変好調に推移した。売上高は計画に足して未達だったが、収益認識に関する会計基準を総額表示から純額表示に計上処理を変更したことによるもので、総額表示では計画を達成している。分母は大きくなってきたが2桁成長を維持している」と総括した。

 大幅な減益については、「中長期的に力強い成長を目指すが、次の成長のために投資し、一度しゃがんで赤字になる計画を打ち出したが、結果は赤字にならずに着地した。期初の計画を大幅に上回る良い数字」と評価し、Quemix、TerraSky Thailand、Diceworks、テラスカイ・テクノロジーズの各子会社への先行投資による営業損失の合計1億5900万円を取り込みつつも、連結営業利益が2022年10月発表の修正計画を大きく上回ったことを強調した。

 2023年2月から同社初のテレビCMを開始したことにも触れ、「マーケティングコストを大きく拡大したが、今回のテレビCMで一連の大型マーケティング投資を終了する」という。テレビCM関連の予算を年間4億円と想定していたが、2022年10月予定のテレビCMの完成が12月になり、放映開始が2023年2月にまでずれ込んだことから、費用が約2億5000万円にとどまり、新年度も1億円程度の予算計上にとどめ、合計でも当初計画予算より5000億円減となる。

 セグメント別業績は、ソリューション事業の売上高が26.2%増の140億8800万円、営業利益が14.3%増の19億4500万円だった。DX市場の拡大を追い風とした大型案件の増加やテラスカイ・テクノロジーズの事業拡大が貢献。また、設立初期段階の子会社における赤字や、プロモーションコストの増加、採用費や人員増といった要因を吸収しながらも増益になった。

 製品事業は、売上高が3.5%減の15億2400万円、営業損失が3500万円減の1億3800万円の赤字となった。一部製品が純額表示に計上処理を変更したことや、初期導入時の開発売り上げが減少したことで減収した。グループウェア「mitoco」の追加機能に関する開発投資の増加やリアルイベント開催費用の増加などが減益に影響した。「mitocoにかなり投資をしてきたが、これがだいたい終わる。今後は開発投資を抑え利益回収に入る。2024年2月期は黒字に転じる計画」とした。mitokoでは、グループウェアの基本機能に加えて、2021年に「mitoco Work 経費」の提供を開始し、2022年8月には「mitoco Work 勤怠」もリリースした。

 一方で、クラウド別はSalesforceが売上高全体の62%を占め、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)が38%となっている。「Salesforceの構成比が徐々に下がっているがビジネスの中心に変わりはなく、Salesforce向けビジネスも成長している」と佐藤氏。加えて、「Salesforce中心の事業展開をする競合は業績が苦戦しているものの、当社には規模がありポートフォリオが広がっており、不測の事態を克服した形でビジネスを推進できる点が強み」だとする。また、「技術スキルを生かしや大企業向けビジネスが中心であり、価格競争に陥りにくく差別化になっている。スキルのあるエンジニアがお客さまの問題を解決する体制が評価されている」と自己分析した。

 サブスクリプション売り上げの構成比は、データ連携ツール「DataSpiderCloud」が36%、Salesforce向け画面開発ツール「SkyVisualEditor」が29%となっているほか、mitokoが前年度の20%から27%に拡大。「mitokoは前年比35%増と大きく成長した。市場シェアをさらに高めたい」と佐藤氏は語った。

 グループの全社員数は前年から215人増(うちテラスカイ・テクノロジーズが120人増)の992人となったほか、2023年4月1日付で約100人が入社し、初めて1000人を超えたという。「業界トップクラスを誇るSalesforceの認定資格保有者数がさらに増加し、特にテラスカイ・テクノロジーズでのリスキリング教育などで資格保有者が増加している」という。2024年2月期に1401人、2025年2月期は1837人の体制を目指す。同社初の単身者向け社員寮を墨田区に開設して、2023年4月の新入社員が入居しているとのこと。今後第2棟、第3棟の物件を調達する計画も示した。

 佐藤氏は事例も紹介した。ユニアデックスは、Salesforceを活用して、SFA(Sales Cloud)やCRM(Service Cloud)、パートナー管理(Experience Cloud)、修理点検のフィードサービスの各システムを同時に稼働させたという。東京商工リサーチは、mitokoを大規模導入して、Salesforce上で課題だったスケジュール管理を解決した。

同社が新たな注力領域としているのが、内製化支援ソリューションだ。佐藤氏は、「DXで一番重要なのは内製化。DXは作ったら終わりではなく、それをいかに速くリニューアルし、改善し、お客さまに届けていくかが勝負になる。常に新製品、サービスを提供しなくては(ビジネスの競争に)負けてしまう。SIerへの丸投げではなくお客さまが開発し、リリースし、次々に新しい機能を追加していく必要がある」と述べる。

 同社では、センターオブエクセレンス(CoE)の構築を支援して、全社でSalesforceを活用した標準化や共通化を促進。トレーニングを含めて内製できる体制づくりを進めるほか、ナレッジの蓄積、意思決定プロセスの検討など内製化を支援するとした。内製化支援ソリューションでは、CoEを通じて製品やサービスに新技術を採用できるようになり、顧客が競合他社との差別化を図ることができる。ローコード/ノーコード開発ツールの「SkyVisualEditor」や、リリースおよび構成管理ツールの「Flosum」、ログ収集・分析の「Sumo Logic」などを活用している。

 「われわれが提供するのは伴走型の内製化支援で、内製化が促進されても、Sieとしてのわれわれのビジネスが減ることはない。売り上げの観点でも平準化させることができる。現場の要望を聞き、運用を支援する体制としてテラスカイ・テクノロジーズが現場に常駐し支援する」という。内製化支援ソリューションは、カインズ、楽天グループ、三菱電機、ビッグローズ、ハンズ、オムロン、アセットマネジメントOneなどで採用実績がある。

 同社は2022年9月に富士通との提携を発表した。佐藤氏は、Salesforce導入企業に対し、富士通の「GLOVIA OM」の国内独占販売契約を獲得したことにも言及した。「GLOVIA OMは、米国で作られたパッケージ。Salesforceの知識がないと提案が難しい。富士通側もパッケージにまで手が回らないという事情があり、われわれが国内では独占的に販売することになった」と説明した。駿河精機がGLOVIA OMを導入して販売管理システムを刷新するなど、中堅の流通、製造を対象に販売を拡大していく考えを示した。

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