「日本のビジネス規模を10億ドルに」–ServiceNow Japan新社長に決意を聞く
今回は「「日本のビジネス規模を10億ドルに」–ServiceNow Japan新社長に決意を聞く」についてご紹介します。
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米ServiceNowの日本法人ServiceNow Japanの社長に日本オラクルやSAPジャパンなどで要職を歴任した鈴木正敏氏が1月5日付で就任した。3月23日には初会見とともに今後の事業方針も発表。意欲満々の同氏に改めて取材を行い、同社の社長に就いた思い、そして日本の企業や組織に対して同社が何をもたらせてくれるのか、筆者なりに斬り込んで聞いてみた。
「私がこれまで培ってきた経験やノウハウをServiceNow Japanに注入して、日本のお客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力にサポートしていきたい」。ServiceNow Japanの執行役員社長に就任した鈴木氏に、まず抱負を聞いたところ、こんなコメントが返ってきた。「これまで培ってきた経験やノウハウ」というのは、複数のエンタープライズソフトウェアベンダーで要職を歴任してきたことによるものだ。筆者もこれまで幾度かお会いする機会があったが、取材相手であるとともにエンタープライズIT分野の論客との印象も。従って、今回の取材も楽しみにしていた。
まずは、ServiceNowについてエッセンスを紹介しておこう。
ServiceNowは、ITから人事、カスタマーサービスまで企業全体に跨るデジタルワークフローを構築することで、より良い働き方の実現を支援するクラウドサービスを提供している。2022年度(2022年12月期)のグローバルでの売上高は72億4500万ドル(約9400億円)と、これまで3年間で倍増以上の成長を遂げ、Salesforceに次ぐ規模の独立系クラウドサービス専業ベンダーとして存在感を発揮するようになってきた。
同社が目指すのは、「自動化できる業務はITに任せ、人が付加価値の高い仕事に注力できるようにする」(鈴木氏)ことだ。提供するサービスは、図1に集約される。中段にある「Now Platform」が全ての基盤(PaaS)で、ここにはワークフローをはじめ、データベース、AI、アナリティクス、ユーザーエクスペリエンスといった機能が装備されている。
最大のポイントは、このNow Platformが下段に記されている各業務のシステムと連携して横断的なワークフローを提供できる点だ。各業務のシステムとしては、図に記されているようにさまざまなベンダーのソフトウェアやサービスが並んでおり、Now Platformはこれらを「ラッピング」するような形になる。
さらに、ServiceNowはこの基盤上でIT業務をはじめ、従業員や顧客向けにワークフローを展開できるSaaSも提供するとともに、誰でも新たなサービスをローコード/ノーコードで開発できる環境なども用意。こうしたことから、Now Platformは「Platform of Platforms」とも位置付けられている。デジタルワークフローで横ぐしを刺すこの仕組みが、「業務を自動化し新たなサービスを創出するプラットフォーム」として機能するわけだ。この点にこそ、ServiceNowのソリューションの真骨頂がある。エッセンスの話が少々長くなったが、ServiceNowはエンタープライズソフトウェアベンダーとして多彩なサービスを提供するユニークな存在なので、この機会に記しておいた。
ServiceNow Japanが3月23日に開いた会見で鈴木氏は、2023年度(2023年12月期)の日本法人の事業方針として、「インダストリービジネスの拡大」「プラットフォームカンパニーへの進化」「パートナーエコシステムのさらなる拡大と強化」「ビジネス効果最大化に向けた提案の推進」「新規顧客獲得の継続的な推進」といった5つの取り組みに注力することを表明した(図2)。
この会見の内容については速報記事をご覧いただくとして、以下では、改めて取材した際、鈴木氏にぜひ聞きたかったことを一問一答形式(敬称略)で記しておく。
–3月の会見で、「今後5年、10年でどのソリューションやテクノロジーが日本のお客さまに貢献できるかを考えたときに、ServiceNowだと確信した」と話していた。なぜ、そう確信したのか。
鈴木:エンタープライズIT分野は今、オンプレミスからクラウドへと大きくシフトしつつある。その中で、クラウドにおいてIaaSとSaaSの領域で新興ベンダーがこれから一大勢力になるような動きは、もはや起こりにくい。しかし、IaaSとSaaSの間に位置するPaaS領域では、その可能性が大いにある。しかもデジタルワークフローを軸として全てを連携させることができ、SoR(System of Record)の資産を生かしながらSoE(System of Engagement)の世界を推進していけるプラットフォームはほかにない。私は将来、ServiceNowがエンタープライズIT分野で一大勢力になると確信している。