富士通とNECは決算発表で「成長事業」をもっと前面に押し出せ
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富士通とNECが発表した2022年度(2023年3月期)の決算では、両社それぞれの「成長事業」の伸長ぶりが示された。2年ほど前から「自分たちはこの事業分野で成長していく」と打ち出してその動向を明らかにしてきたものだが、まだまだ物足りない。もっと前面に押し出してアピールすべきではないか。
富士通が4月27日に行った決算会見では、主力のテクノロジーソリューション(ソリューションサービスとシステムプラットフォーム)分野において「For Growth」と呼ぶ成長事業領域の2022年度の売上収益(売上高に相当)伸び率が前年度比7%増と、同分野全体の伸び率(4%増)を3ポイント上回ったことを示した。ここで言う同社の成長事業とは、おおむねデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連する領域のことだ(写真1)。
ただ、この程度の差では成長事業をわざわざ切り出して見せるほどのものかとも受け取れる。そうした見方に対してか、会見に臨んだ同社 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)の時田隆仁氏と取締役執行役員 最高財務責任者(SEVP/CFO)の磯部武司氏は図1を示しながら、「海外の成長事業を加えたFor Growthの推移を四半期ごとで見ると、2022年度の第3四半期(2022年10〜12月)および第4四半期(2023年1〜3月)の売上収益の前年度比伸び率はそれぞれ10%増、11%増と、二桁成長の勢いが出てきている」ことを強調した。
富士通が決算で成長事業をFor Growthとして切り出してアピールし始めたのは、2020年度(2021年3月期)第2四半期(2020年7〜9月)の発表からだ。その会見を受けて、筆者は2020年11月5日掲載の本連載記事で「日本企業は決算発表で成長する事業領域を明確に語れ」と銘打って、同社の取り組みにエールを送った。富士通をはじめ日本企業は欧米企業に比べて、決算会見での成長事業のアピールが弱いとかねがね感じていたからだ。
さらに、同社が2021年4月28日に行った経営方針説明会では、その質疑応答で時田氏に「成長事業をさらに伸ばすために分社してはどうか」とも投げかけてみた。そのやりとりについては2021年5月6日掲載の本連載記事に記した。同氏が笑顔を浮かべながら、「あらゆるオプションを検討する中の1つとして加えさせていただく」と答えたのが印象的だった。