ラズパイなどSBCをペルチェクーラーで冷却–ヒートシンクとファンでは不十分な場合に

今回は「ラズパイなどSBCをペルチェクーラーで冷却–ヒートシンクとファンでは不十分な場合に」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 筆者は先日、シングルボードコンピューター(SBC)プロジェクトの冷却に関するアドバイスを求められた。

 不必要な詳細には触れないが、問題は、ボードを通常よりも暖かい環境で運用する必要があるため、ヒートシンクとファンを取り付けても、プロセッサーが最高動作温度にかなり近い温度で動作しているということだった。

 ヒートシンクとファンだけではボードを十分に冷却できない場合、大幅な改造をせずに問題を解決することは可能なのだろうか(アドバイスを求めてきた人のボードは「Radxa Rock 5 Model B」だったが、以下で紹介する解決策は「Raspberry Pi」でも機能する)。

 筆者は、過去にデスクトップコンピューターのプロセッサーのオーバークロックにのめり込んでいたことを覚えている。快適な範囲を越えてプロセッサーを追い込めば追い込むほど、そして、プロセッサーが全力で動作すればするほど、より多くの熱が発生し、熱を放散させることが必要になる。

 筆者が使用した解決策はペルチェ熱電冷却モジュールだ。このモジュールは、ペルチェ効果を利用することで機能する。簡単に説明すると、接合された2種類の導電性素材(通常は2つの半導体)に電流を流すと、熱が一方の素材からもう一方の素材に移動する。その結果、一方の素材は冷たくなり、もう一方の素材は熱くなる。

 ペルチェクーラーは、1834年にこの熱電効果(現在では、ペルチェ効果と呼ばれている)を発見したフランスの物理学者ジャン・シャルル・ペルチェにちなんで名付けられた。

 ペルチェ効果は奇妙な現象だ。熱い部分と冷たい部分が同時に存在する物体を持つと、筆者は今でも変な感じがするが、これは温度を低く保つ優れた方法である。ペルチェクーラーの暖かい面には、熱を逃がすためのヒートシンクとファンが必要になるが、ペルチェ熱電モジュールは、ヒートシンクとファンだけを使用する場合よりもはるかに強力な冷却効果を提供する。

 この効果は以下の熱画像で確認できるが、ペルチェモジュールのセラミック表面の放射率(つまり、反射率)が原因で、サーマルカメラは正確に機能していない。

 筆者はオーバークロックされたプロセッサーで、これらのモジュールを有効に活用してきた経験があるので、今回の問題にも何とかして応用できるのではないかと考えた。

 ペルチェモジュールにはさまざまなサイズと定格がある。筆者が使用したのは、5V/1Aで動作する、控えめな性能の30×30mmのモジュールだ(ただし、筆者のテストで、このモジュールは3Vで問題なく動作した)。つまり、このモジュール(とファン)は、少ない電力で動かすことができる。もっと大型のペルチェモジュールも存在するが、今回のような冷却プロジェクトにそこまでの性能は必要ない。

 必要なものは以下の通りだ。

 サーマルペーストは、ペルチェモジュールの低温面と冷却しようとしているチップの間、そして、モジュールの高温面とヒートシンクの間の両方に塗布する必要がある。モジュールの両面には、空隙が存在するが、そこをサーマルペーストで埋めることで、熱移動を改善することができる。

 筆者が持っていたRock 5 Model 5用の冷却ファンには、ボードに取り付けられる部品が付属していた(通常よりも長い留め具を使用する必要があった)。Raspberry Piの場合は、専用のRaspberry Piクーラーの間にペルチェモジュールを差し込む。

 こうしたプロジェクトを構築する際に覚えておくべき重要な点は、ペルチェモジュールの低温面を、冷却しようとしているものの方に向ける必要があるということだ。ここを間違えてはいけない。印が付いている場合もあるが、そうでない場合は、モジュールの電源を入れて、温度の違いを自分で感じ取る必要がある。

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