リコーと東芝テック、複合機やエッジ機器の中核開発で合弁会社を設立
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リコーと東芝テックは5月19日、両社の複合機事業を統合し、2024年度第1四半期(4~6月期)に合弁会社を設立すると発表した。合弁会社は両社製品の中核となる「共通エンジン」を開発し、両社それぞれに特徴付けた製品を供給する。両社は合弁会社が供給する製品を中心に、それぞれ強みを生かしたデジタルサービスやソリューションを展開するという。
合弁会社は、リコーが85%、東芝テックが15%を出資し、リコー子会社のリコーテクノロジーズが承継する形で吸収分割により設立する。合弁会社が複合機やエッジデバイスの共通エンジンを開発し、共通エンジンと連携する製品コントローラーをリコー向けと東芝テック向けに搭載して差異化し、両社に供給する。販売体制は変更せず、両社それぞれの販売経路で顧客に製品やサービスを提供するとしている。
同日夕方に開いた記者会見で、リコー 代表取締役 会長の山下良則氏は、「過去数十年にわたって日本の事務機メーカーが世界市場を席巻できたのは、コピー機からファクシミリ機能などを加えた複合機、カラーコピーからネットワークへの対応、アプリケーション搭載など技術的な進化があり、現在では働く人々にとって欠かせないデバイスであるのは変わらない」と述べた。
他方で、オフィスのペーパーレス化が次第に進み、コロナ禍でのリモートワークの急拡大とDXによって紙の印刷量の減少がさらに加速しているとした。山下氏は、社長時代に同社のデジタルサービス企業への変革を推進してきたが、東芝テックとハードウェア開発などについて長らく議論してきたといい、「複合機の技術開発の強みと先人たちが切り開いてきた功績に応えるためにも今回の合弁会社設立に至った」と述べた。
合弁会社の方向性などについてリコー 代表取締役 社長執行役員の大山晃氏は、「品質・コスト・デリバリー・安全・環境の観点から競争力のある製品を実現し、それを供給することで新規顧客の獲得や供給の安定化につなげ、さらなる新技術、新規ビジネスの創出を図る。このサイクルによってものづくりを強化していく」と説明した。
リコー側のメリットについては、同社が目指すデジタルサービス企業への変革と顧客への価値提供において、複合機をはじめとする独自性のあるエッジデバイスが不可欠であり、エッジデバイスの心臓部を供給する合弁会社が重要な役割を担うとする。
同社が目指すデジタルサービスでは、企業顧客のデジタルワークフローをアナログとデジタルの融合によって実現させるとし、アナログとデジタルの情報・データを相互に変換する役割がエッジデバイスになるという。エッジデバイスから同社のデジタルサービス基盤「RSIプラットフォーム」にデータがつながり、それを活用するビジネスアプリケーションを通じて顧客価値を創出するという姿を描く。大山氏は、「当社ならではのデジタルサービスや、安心・安定の高品質なサービス・商品の提供、そして環境への貢献の効果を期待している」と述べた。
東芝テックのメリットについて同社代表取締役社長の錦織弘信氏は、(1)「東芝」ブランドを継続する強固な商品ラインアップの実現、(2)成長領域事業の加速、(3)流通小売業界などの課題を解決するソリューションパートナー――を挙げた。
(1)では、使いやすいタッチパネルや音声操作といった同社製品ならでは強みをさらに強化し、同社が得意とする業務用バーコードプリンターとの連携など新たな展開にもつながるという。(2)では、DXやワークフロー、データマネージメントのソリューションを拡大し、バーコードプリンターやRFIDと複合機を組み合わせたサプライチェーンマネージメントソリューションの提供など独自性を強化できるとした。
(3)では、錦織氏が就任時より取り組むハードウェアメーカーからソリューションプロバイダーへの変革において、合弁会社が開発するエッジデバイスが鍵になるとする。錦織氏は、「当社は海外で59社を展開し、稼働する複合機は約140万台とリコーさんより少ないが、POS(販売時点)システムは世界で314万台が稼働し、国内シェアは約5割になる。このタッチポイントを生かすことができるようになる」と述べた。
東芝テックでは、ソフトウェア開発体制を世界中で強化し続けており、開発者を2022年の約1300人から2025年には北米を中心に約1800人体制に拡充させる。ソフトウェア開発力を生かし、顧客ニーズにきめ細かく対応する付加価値の高いソリューションを提供していくとした。
同日時点で、合弁会社の具体的な事業体制やビジネスモデルなどは検討段階といい、リコーの大山氏は「まずは共通エンジンの開発に取り組む」とした。この開発には数年を要する見通しだという。