沖縄県名護市、スマートシティー関連事業の推進を加速–人が集まる地方都市づくり
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沖縄県名護市と名護スマートシティ推進協議会は5月30日、包括連携協定を締結した。同時に、同市のスマートシティー関連事業を推進するため「名護スマートシティコンソーシアム」を設立し、人や企業が集まる地方都市を目指すという。
同協議会は、官民連携や先端技術の効果的な活用によって、地域課題の解決やまちの魅力を高める「スマートシティ名護モデル」を創出し、国内外に発信することで、人や企業が集まる活気ある地方都市の理想像「“響鳴都市”名護」を実現するために1月に発足した。
同協議会には、ゆがふホールディングス、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)、シスコシステムズ、デンソー、NTT西日本、JTB沖縄、KPMGコンサルティングの7社が参画し、緊密に連携しながら同市のスマートシティー関連事業を推進する。なお、代表理事は名桜大学 副学長の林優子氏が務め、ゆがふホールディングス 代表取締役社長の前田貴子氏が理事を務める。
“響鳴都市”名護は、「人や企業、まちの歴史と未来、最新技術と自然などのあらゆる地域資源が『もっと輝く名護市を創る』という思いを持って、それぞれの力を発揮(音を奏で)、互いに響鳴させ(ハーモニーを生み出す)その力を最大に引き出す新しいまち」の創出をイメージしている。
同日に行われた締結記者会見では名護市 市長の渡具知武豊氏が登壇。「この“響鳴都市”名護を具現化するには、本市の課題に対して自分事として考えるプレーヤーを呼び込み、地域ビジネスを売り出し、地域経済を活性化すること。そして地域住民の利便性を向上させ、本市の生活満足度の向上を図ることが必要だ」とし、「行政だけではその取り組みを広げるには限界があり、民間の企業の力が必要であることから今回、包括連携協定を締結した。頼もしいパートナーを得ることができ、まちづくりへの期待が高まる」とコメントした。
今回発足した名護スマートシティコンソーシアムでは、県内外から参加企業や団体を広く募るとともに、健康・福祉、子育て・教育、産業振興など、同市の地域課題ごとにワーキンググループを設置。コンソーシアムの参加メンバーはワーキンググループの活動を通して、名護の人や企業、まちの歴史と未来、最新技術と自然など、さまざまな地域資源と、「もっと輝く名護市を創る」という思いを持ち、それぞれの力を発揮することを目指すという。
この締結を皮切りに本格的に活動を開始し、同市をフィールドとした先行実証事業に着手。この取り組みに関する事業規模や実証エリア、参画組織数などを拡大し発展させていくことで、スマートシティーを切り口に、多様なプレイヤーが地域課題や社会課題の解決を推進するスマートシティ名護モデルの確立を目指す。
また、名護スマートシティ推進協議会に参画するKPMGコンサルティングは、同日にオープンイノベーションセンター「Nago Acceleration Garage」を名護市に開設した。同センターは、産官学連携による未来視点での人材育成や新たな産業創発に取り組む場になる。
同社と名護市は、スマートシティ名護モデルの実現に向け、2022年8月に包括連携協定を締結。まちづくりや企業誘致、交通などにおいて新しい取り組みの検討を行うほか、同社は、同市主催のイベントへの協賛や参加、名桜大学でのイノベーション講座の開講など、“響鳴都市”名護の実現に向けた活動を進めている。
このような活動を加速させるため、同センターを新たに開設。まちの活性化を自らリード出来るような未来思考の人材を育成・輩出するため、多様な企業や人と連携した「オープンイノベーションプログラム」や「社会課題解決のワークショップ」、「デジタル技術体験イベント」などの開催を予定しているという。また、同センターは名護スマートシティコンソーシアムの活動拠点としても活用される予定だ。
同じく記者会見に登壇したKPMGコンサルティングの代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)の宮原正弘氏は、2022年に締結した同市との包括連携協定を振り返り、「スマートシティ名護モデルの実現への支援を決めた理由は、渡具知市長の強いリーダーシップとビジョン、そして市役所の皆さまの熱い思いを受けたからだ」という。また、センター開設に対しては「当社は受託して支援を行うという従来型のコンサルティングの域を超え、まさに変革オーケストレーターとして、“響鳴都市”名護を実現するビジネスパートナーとして総合的・長期的に支援することを約束する」と力強く述べた。