NTTデータと三菱重工、既存データセンターで活用可能なラック型液浸冷却システム構築

今回は「NTTデータと三菱重工、既存データセンターで活用可能なラック型液浸冷却システム構築」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 NTTデータは、既存データセンターで活用可能なサーバーなどのIT機器を液体の中で直接冷却する「ラック型液浸冷却システム」を三菱重工業(三菱重工)と構築した。

 同システムは、IT機器を特殊な絶縁性のある液体に浸し、効率的な冷却を図る「一相式・非沸騰型」の液浸冷却方式を採用している。また導入単位を19インチラック単位とすることで、一般的な既存データセンターの構築・運用と相違なく導入できる。さらにIT機器をユニット単位で運用するため、これまでのラック全体ではなくユニット単位で運用保守が可能となる。メンテナンス時にクレーンなどの特別な装置は必要なく、作業者のオペレーション工程が容易になる。

 運用では、同一ラック内に空冷システムと液浸冷却システムの両立運用が可能。また、発熱性の高いサーバー機器(液浸対応)や低負荷のNW機器、ストレージ機器(液浸非対応)を同一ラックに収めた場合など、ラックユニット単位で異なる冷却システムをハイブリッドに活用できるため、余分な配線コストや管理工数を削減できる。

 積載については、同一ラック内に1U機器に換算して最大22台程度、2U機器に換算して最大16台程度設置可能となり、ユーザーの多様なニーズに応じてユニット機器の組み合わせや積載数をカスタマイズできる。

 NTTデータは、2023年3~5月「三鷹データセンターEAST」で同システムの実機検証を実施した結果、冷却にかかるエネルギーを自社ビル基準において92%削減し、さらに、液浸冷却では一般的な「タンク型液浸冷却システム」での課題である運用性も173%向上することが確認されている。

 液浸冷却とは、IT機器を絶縁性のある液体に浸し、効率的な冷却を図る次世代の冷却方式。今回検証したラック型一相式の液浸冷却システム(IT機器に合わせて小型槽をラック内に複数配置)では、空冷システムの運用基準におおむね準拠した形で運用をスタートできるため、導入時の負担軽減が可能。さらに、三菱重工製ドライクーラーと組み合わせることで、消費電力を大幅に削減できる。

 検証では、CPU/GPU負荷100%の場合でも冷媒の運用温度が30~40℃付近を維持し、冷媒の運用温度もコントロールできるため、IT性能の観点でも高い効果が得られた。これにより、柔軟な搭載機器選定が可能となることも分かった。

 さらに、機器設置や取り外しにかかる時間が1U機器の場合、それぞれ5分以内で実施でき、従来の液浸装置と比べてもメンテナンス時間が大幅に短縮された。従来運用していた空冷でのオペレーション手順項目の約7割をほぼ修正することなく活用できるが、タンク型の場合、従来のオペレーション手順において約8割近くの項目の修正が必要となる。このような結果から、ラック型を導入した場合、タンク型の課題である運用性が約173%向上することが確認された。

 省エネ性の検証では、従来のデータセンターと比較して最大92%削減できたと同時に、推定PUE(データセンターの冷却効率を示す指標)は2022年度の検証結果(タンク型の液浸冷却システムでの検証)とほぼ同等のPUEを達成した。

 なお実機検証では、三菱重工業のほかにデル・テクノロジーズも協力した。NTTデータは検証フィールド提供、プロジェクトの全体統括、実運用に向けた各種検証などを担当、三菱重工業はラック型液浸冷却システム、ドライクーラーの構築・提供、技術サポート、実運用に向けた各種検証などを行った。デル・テクノロジーズは、機器の提供、液浸冷却システム向けのカスタマイズなど、実運用に向けた各種検証などを担当した。

 NTTデータは、今回の検証結果を基に2023年度内の三菱重工製ラック型液浸冷却システムを活用した社内システムへの導入を目指す。

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