8割以上がDX人材を社外から採用、約4割がミスマッチを実感–ドリーム・アーツ調査
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ドリーム・アーツは6月27日、DX人材の流動性に関する調査結果を発表した。これによると、8割以上が社外からDX人材を採用しながらも、約4割がミスマッチを実感。採用したDX人材の6割が早期退社の意向を示したという。
取締役執行役員で最高技術責任者(CTO)の石田健亮氏は、「DX人材は(企業に)変革を起こす役割として採用している。(既存の従業員から)抵抗感や不信感からの拒否反応が起こるのも当然だ。DX人材のミスマッチは変革を進める上で避けて通れない」とDX人材を確保したい経営層の覚悟と変革を受け入れる企業文化の醸成が欠かせないと述べた。
情報処理推進機構(IPA)が4月に発表した「DX白書2023」では、多くの企業がDX人材の「質」と「量」の確保に苦慮している状況が報告されている。ドリーム・アーツはDX人材採用の現状と課題を把握するため、2023年3月9~13日に1000人以上の従業員を持つ企業のDX関連人材730人にインターネット調査を実施した。内訳はDX推進部署200人に加えて、3年以内に転職した従業員132人、DX人材を採用する経営陣100人、人事部門198人、DX推進部署100人となる。
まずDX人材を「十分確保できていない」と回答した企業は83.5%。これは、「一部確保できている」(46.3%)、「あまり確保できない」(30.1%)、「全く確保できない」(7.1%)の合算で、DX人材を「十分確保できている」とする企業は16.4%にとどまった(有効回答数730件)。
当然ながら企業も手をこまねいているわけではない。3年以内に社外からDX人材を採用した割合は81.9%と積極的である(有効回答数565件)。ただ、DX人材の採用が難しい理由として、「要件を満たす人材が少ない」(36%)、「自社のDX戦略とDX人材の要件が明確でない」(28.8%)、「DX人材の報酬が自社の給与水準と乖離(かいり)している」(27.8%)との声が上位に並ぶ。
一言でDX人材と述べても業務内容は多種多様だが、多くはプロジェクトマネージャー(58ポイント)、ビジネス/エンタープライズアーキテクト(55ポイント)、データサイエンティストは19ポイント(有効回答数157件)だった。
社長室 コーポレートマーケティンググループ ゼネラルマネージャーの金井優子氏は、「エンジニア系が多いと思っていたが(3位のデータサイエンティストは)意外だった」と率直な感想を述べつつ、高度なIT能力よりも業務を俯瞰(ふかん)できる人材を欲していると分析した。
DX推進に最も影響を与えている人材は「社外から採用された人材」(257ポイント)と「当初から社内にいる人材」(245ポイント)が拮抗しているが、自由記述を見ると前者は「新しい風を吹かせてくれた」「生え抜きにはない知識・経験・スキル」「社内にはない問題意識」「意識が高くプロフェッショナル」「前職でDX経験し、プロセスを熟知」との声が寄せられた。後者は「社内事情に精通している」「企業風土を理解している」「社内人材の教育が進行中」と肯定的な意見と同時に「既得権を手放さない」「知識はないのに権力を持つ」と否定的な声も集まった。
影響度が高い人材とDX推進度の関係を問うと、「社外から採用された人材の影響度が高い」とした回答のうち55.3%(有効回答数257件)、「当初から社内にいる人材の影響度が高い」とした回答のうち18.8%(有効回答数245件)が「DXは進展している」と回答した。また、社外採用のDX人材に肯定的なのは35%にとどまり、65%は「格差を感じる」「不信感がある」など否定的な声が集まった。企業のDX推進に外部人材は欠かせないものの、今回の調査は他者を受け入れない企業風土だと改革が進まないことを示している。
このような企業とDX人材の不適合が発生する背景を浮き彫りにするため、従業員の転職意識も調査した。DX部署に所属して転職意向を持つ割合は47.2%(有効回答数538件)。3年内に採用されたDX人材は60.6%と高く(有効回答数132件)、既存の従業員は31.5%とさほど多くない(有効回答数200件)。
社外採用した人材でDX推進に取り組む企業の96ポイントが「変革を受け入れる企業文化に危機感」と回答(有効回答数203件、複数回答)。その結果はドリーム・アーツが調査結果の自由記述を分析した結果にも現れている。当然ながら外部から転職してきたDX人材が組織に共感するまでには一定の時間を要すると同時に、基盤となる企業風土が重要だ。
それでも石田氏は「DX人材のミスマッチは変革を進める上で発生する化学反応。あくまでもDX人材(の雇用)はきっかけで、デジタルで業務変革を起こす意識が経営層から現場まで持たなければならない」と語った。