「Zoom+AI」で「人と人のつながり」を強調するZVCの思惑とは
今回は「「Zoom+AI」で「人と人のつながり」を強調するZVCの思惑とは」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ZVC JAPAN 代表取締役会長 兼 社長の下垣典弘氏と、エクイニクス・ジャパン 代表取締役社長の小川久仁子氏の発言を紹介する。
米Zoom Video Communication(以下、ZVC)の日本法人ZVC JAPANは先頃、新ソリューション発表に関する記者説明会を都内ホテルで開いた。下垣氏の冒頭の発言はその会見で、ウェブ会議ツールとして急速に普及した「Zoom」がAIを組み込んで進化していくことを述べたものである。
会見で発表された新ソリューションの内容については速報記事をご覧いただくとして、ここでは下垣氏の冒頭の発言に注目したい。
「ZVCではAIに対して早くから積極的に投資しており、ZoomのさまざまなサービスにAIを組み込みつつある。そして、企業においてZoomを利用するシーンとして、これまでは従業員によるコラボレーションが中心だったが、これからは顧客とのコラボレーションにも注力していく。従業員であれ顧客であれ、つなぐのは人と人。そうしたアプローチで、AIを基盤にした1つのプラットフォームで『幸福度』を向上させていきたい」
下垣氏は図1を示しながら、こう説明した。ZoomのさまざまなサービスにAIを組み込むことについては、「Federated:適合する」「Empowering:エンパワーメント」「Responsible:責任感」といった3つのキーワードを挙げた。それぞれの意味については、Federatedは「異なるAIモデルを利用できる柔軟性」、Empoweringは「AIを利用した生産性の向上」、Responsibleは「安全性を意識したAIの利用」などと説明した。
ZoomはAIが進化することによって、ユーザーに何をもたらすのか。下垣氏は「ハイブリッドワークの生産性向上」「人と人のつながりを強化」「満足度の高い顧客体験」の3つを挙げ、図2に示すようにそれぞれAIによって新たな機能が使えるようになって、それらが可能になると説明した。冒頭の発言はこの中の話から抜粋したものである。
さらに「人と人のつながり」については、図1において左の従業員とのコラボレーションと右の顧客とのコラボレーションの間に「人と人」と記されていることに着目した。
実は、下垣氏には2カ月前の5月12日掲載の本連載記事にも「われわれはビデオコミュニケーションだけの会社ではない」との明言で登場していただき、その記事の中で今回の図1とほぼ同じ図を紹介した。変わったのは1点だけ。それは今回の図1で「人と人」という言葉が入っていることだ。つまり、意図的に新たに付け加えたわけだ。
ZVCはこのほど新たなビジョンを策定した。「One Platform delivering」(1つのプラットフォームが世界を変える)、そして「limitless human connection」(無限に広がる人とのつながり)と続く。下垣氏によると、「今後、ZVCが提供するサービスは全てこのビジョンに基づいたものになる」とのこと。とりわけ、「無限に広がる人とのつながり」にZoomの存在意義を改めてアピールしていこうという意思の表れが見て取れる。そんなことを感じさせられた今回の会見だった。