大塚商会が中長期の経営方針を発表–約20年ぶり数値目標を提示

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 大塚商会は7月24日、中長期の経営方針を発表した。経営指標として、営業利益で年平均成長率6%増、営業利益率および経常利益率で7%、自己資本利益率(ROE)で13%以上を掲げたほか、顧客企業数で2%増、企業当たり売上高で3%増を目指す。なお、時期は明確にしていない。

 また、中長期の経営方針として「環境変化に対応しながら、安定的かつ持続的な成長を続け、営業利益率・経常利益率ともに7%以上定着」「人員計画は生産性向上に留意しながら微増」「情報の活用で需要を開拓」「人、物、金、情報の効率活用で1人当たりの生産性向上」の4点を挙げた。

 大塚商会は、2000年7月の上場直後に中期経営計画を発表していたことがあったが、それ以降は、「営業利益率、経常利益率ともに7%定着」という数字を掲げる以外に、数値目標を打ち出すことはなかった。今回の会見で約20年ぶりに中長期の見通しを対外的に発表したことになるが、数年後に到達が想定される売上高1兆円の目標には言及しなかった。

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「掲げた数字は下限であり、この数字以上になるように努力したい。だが、短期業績の善し悪しではなく、中長期の目線で確実な成長を果たし、ステークホルダー(利害関係者)の期待に応える」とコメントした。「ミッションステートメントのもと、中長期経の営方針を実行に移し、安定的かつ持続的に成長を続ける会社として『100年企業』を目指す」と発言した。

 「100年企業」という言葉を同氏が会見で用いたのは初めて。今回の方針は、成長戦略とともに、長期持続性を実現するビジネスモデルの構築に向けた姿勢を強調するものになった。

 中長期の経営方針を推進する上で、大塚氏は「オフィスまるごと」の提案を重視する姿勢を見せ、「『電子帳簿保存法』などの動きもあり、複写機とサーバーをネットワークでつないで提案するといったことが増える。複写機を扱っているシステムインテグレーターは少なく、大塚商会の強みを発揮できる」とする。

 2022年7月~2023年6月の実績で、年間29万2000社の販売取引実績がある顧客のうち、1種類の商材だけの取引を指す「O1」は68.9%、2種類以上の商材を取引した「O2」は18.9%、3種類となる「O3」は10.4%となっている。「PCだけや『たのめーる』だけといった取引のお客さまが約7割を占める。大ほら吹きのような計算だが、1種類の製品しか取引がない約21万社のお客さまに100万円のITシステムを購入していただければ、それだけで2100億円の売上増になり、まだ伸びる余地がある。この部分を少しでも伸ばすことが、中長期的な成長で重要な方針になる」と大塚氏は語った。

 また、「お客さまとの関係が薄くなってきたと感じる。お客さまとの接点にフロントを整備し、リアルとウェブ、センターの三位一体で連携しお客さまに対応することで、つながりを強化したい。新たな関係作りから、まるごと提案につなげることを基本戦略とし、お客さまの困り事をまるごと解決できるお客さまのパートナーを目指す」とも述べ、「生産性向上の余地があると考えている。営業は自分の売りやすいものを売るのではなく、お客さまの困り事を起点に提案をすれば、さまざまな製品を売ることができ、顧客単価も上昇する。1種類の商品しか販売していないということは、ほかの商品は他社から購入しているということ。トータルでサポートできる強みを生かした提案を進め、オフィスまるごとを実現したい」と語った。

 収益性の向上について大塚氏は、付加価値の提案とストックビジネスを重点領域に注力する考えを示した。大塚商会のサプライおよび契約保守売上高は、2022年度実績で3050億円に、売上高全体の約4割を占め、安定成長の基盤となっている。

 「新たなお客さまを増やし、それぞれのお客さまに深く関わり成長を後押しすることで、大塚商会も成長する。幅広い商材でお手伝いできれば、1社当たりの売上単価も上昇する。新しいお客さまの開拓と深耕を両輪で推進していく」

 大塚氏は、サステナビリティー(持続可能性)経営についても言及した。マテリアリティーへの取り組みとDX活用により、長期的な財務リスクを低減して安定的な成長基盤を構築する「ESG(環境・社会・統制)課題の解決」と、イノベーションによる事業領域拡大で心豊かな社会の創造に貢献する「SDGs(持続可能開発目標)の達成」に貢献することを掲げる。「ミッションステートメントの実践で持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指す」と同氏は述べた。

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