富士通、2023年度第1四半期は減収減益も「強気」を貫く理由

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 富士通は7月27日、2023年度第1四半期(2023年4月~6月)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比2.3%減の7996億円、調整後営業利益が9.3%減の26億円、税引前利益が77.6%減の85億円、調整後当期純利益が39.3%減の74億円の減収減益となった。

 同社が成長戦略を描いている2025年度目標の中期経営計画において、今回の第1四半期決算は、最初の四半期決算になる。だが、数字上では減収減益の厳しいスタートになった。しかし、決算会見で取締役執行役員SEVP/CFO(最高財務責任者)の磯部武司氏は、最後まで強気の姿勢を崩さず、「セグメントごとに明暗が分かれたが、内容・水準ともに計画通りだ。売上収益は、PFUのカーブアウトによる事業再編の影響を除くと若干の増収だった。サービスソリューションを中心に、受注や商談パイプラインは力強い」とコメントした。

 磯部氏が強気の姿勢を見せるのは、成長ドライバーと位置づける「サービスソリューション」が売上収益で前年同期比4.4%増の4654億円、調整後営業利益で同132.5%増の209億円と着実な成長を遂げた点にあるからだ。「サービスソリューションが増収増益の力強いスタートになった。事業再編の影響を除けば、国内ビジネスの好調ぶりを中心に2桁の成長。採算性の改善も計画通りに進み、着実な増益を達成した」と語る。

 富士通は、新たな中期経営計画のスタートに合わせて開示セグメントを変更し、サービスソリューションは、従来のテクノロジーソリューションからハードウェア事業を切り出し、「Fujitsu Uvance」を中心としたグローバル共通の価値提供サービスを創出、提供するビジネスと、日本および海外市場に向けたサービスを提供、実装するビジネスで構成している。富士通の本業部分にフォーカスしたセグメントだといっていいだろう。

 同社がサービスソリューションで手応えを感じている部分が幾つかある。1つ目は、国内市場を中心に、DXおよびモダナイゼーション商談が活発であるという点だ。

 サービスソリューションは、3つのサブセグメントで構成されるが、最大規模を誇る「リージョンズ(Japan)」では、売上収益が同1.3%減の2620億円だったものの、調整後営業利益で35.1%増の258億円と増益を達成、磯部氏は「産業、流通、金融、官公庁向けといった広範囲で、DXおよび基幹システムの刷新案件が増加している。採算性向上も着実に進んでいる」との手応えを示す。

 また、グローバルソリューションの売上収益が前年同期比11.1%増の1042億円に拡大。調整後営業利益は12億円の赤字だったものの、前年同期の82億円の赤字からは大きく改善している。「Fujitsu Uvanceの着実な伸長とモダナイゼーションを支えるソフトウェアの大型案件が増収を牽引した」とし、「まだ投資先行フェーズ。2023年度後半に、多数のUvanceオファリングのリリースを計画している」と、下期に向けた地盤づくりを進めていることを強調する。

 課題となっているのが「リージョンズ(海外)」だ。売上収益は同8.4%増の1410億円だったものの、調整後営業利益は前年同期で18億円の赤字から36億円の赤字とその幅が拡大した。増収は為替によるプラスの影響で、赤字幅の拡大はアジア太平洋地域(APAC)での好採算商談の終息した影響だという。

 「海外は、まだ根本的な改善の手を打てているわけではない。まず全体構造を変えるところにエネルギーを費やす段階」としながらも、「第2四半期は赤字か黒字かギリギリのところを計画しており、通期での黒字化を最低限の目標にしている」と、海外事業の黒字転換を必達目標に掲げた。

 サービスソヒリューションのサブセグメントでも、明暗が分かれたともいえるが、磯部氏は、それらの方向感に手応えを得ているようだ。

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