デジタルコンサルのモンスターラボ、2030年度に1000億円目指す–20カ国以上で事業を展開
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年率40%成長を続けるコンサルティングと受託開発を手掛けるIT企業がある。デジタルコンサルティングを標ぼうするモンスターラボホールディングスだ。世界20カ国・33拠点で事業展開し、2022年度の売り上げは約142億円、従業員数約1500人の規模になる。創業者で代表取締役社長の鮄川宏樹氏は、2030年度に1000億円を目指す考えだ。その道のりを聞いた。
2023年3月に東京証券取引所のグロース市場に上場した同社は2006年の設立で、音楽配信事業からスタートした。ところが、開発拠点の一つである中国でのコストがだんだん高くなってきたことで、別の国・地域での開発を検討し始めた。そんな中、経済産業省が2030年までに数十万人のIT人材が不足すると警鐘を鳴らし、日本のITエンジニア不足が大きな問題になってきた。「2013年ごろ、今の前身となるビジネスを始めたきっかけになる」(鮄川氏)
そこで、鮄川氏がベトナムやフィリピン、インドなどアジアを訪問すると、優秀な若いITエンジニアがたくさんおり、彼ら彼女らを活用すれば、日本企業のデジタル化を推進できると考えた。まずはデジタル化を進める日本企業に、アジアのITエンジニアを紹介するマッチングビジネスを始めた。だが、品質管理やプロジェクト管理などの問題が表面化したことで、解決に向けてベトナムやフィリピンなどの受託開発会社の買収に乗り出した。そこを開発拠点にし、モンスターラボ自身が日本企業向けの受託開発に当たるためだ。
受託開発におけるビジネスチャンスも見いだした。当時、大手企業向けの大規模な基幹系システム構築は、大手システムインテグレーター(SIer)やコンサルティング会社が実績を積んでいるものの、デジタルプロダクトの領域には国際的なプレイヤーがまだ少なかった。スマートフォンの普及でモバイルファーストが叫ばれるとともに、開発手法がアジャイル開発へシフトする傾向も見られ始めた。鮄川氏は、大手SIerのような請負の業務システム開発ではなく、モバイルやウェブなどのテクノロジーを駆使した顧客とのタッチポイントなどデジタルプロダクトの受託開発に絞り込んだ。その領域ならリーダーのポジションを取れるとの読みもあったのだろう。
モンスターラボは、開発コストを考えて、まずアジアの開発拠点作りに着手する。次にデンマークや米国などマーケットとなる国でIT企業の買収に乗り出す。買収したデンマークのIT企業が英国、ドイツ、オランダなどへ進出したことで、欧州拠点が拡充されていく。さらに中東最大の配車サービスを展開するCareemの開発案件を受託したことを契機に中東の開発案件を獲得していく。そこで、ドバイとサウジアラビアに拠点を設けた。これでアジア、欧州、米国、中東の4地域の拠点が出来上がる。グループ会社は30社にもなる(2023年7月時点)。
こうしてグローバルな組織になった同社には、営業拠点のレベニューセンターと開発拠点のデリバリーセンターがある。マーケットととられる国や地域に置くレベニューセンターは、日本や米国、デンマーク・英国・オランダなどの欧州、ドバイやサウジアラビアなどの中東にあり、セールスマーケティングやコンサルティング、プロジェクトマネジメント、デザイン、上流設計などの人員を配置する。一方、デリバリーセンターは、日本向けはベトナム、フィリピン、バングラデシュ、米国向けはコロンビア、欧州向けはチェコやウクライナ、中東向けはバングラデシュになる。
オペレーションの管理は、リージョン単位になる。アジア大平洋(APAC)と欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)、米国のリージョンに社長や最高財務責任者(CFO)のほか、セールス管理やパイプライン管理、リーダーシップチームなどをそれぞれ配置する。ストラテジーとテクノロジー、デザイン、データの責任者もおり、情報も共有する。APACとEMEAには最高技術責任者(CTO)もおり、技術トレンドなどから開発手法やテクノロジーなどを選択する。CTOの下には、人工知能(AI)など先端テクノロジーに詳しいテックディレクターも置く。