グーグルのニュース記事作成AI「Genesis」はジャーナリズムに深刻な影響をもたらす
今回は「グーグルのニュース記事作成AI「Genesis」はジャーナリズムに深刻な影響をもたらす」についてご紹介します。
関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Googleの最高経営責任者(CEO)Sundar Pichai氏が5月に年次開発者会議「Google I/O 2023」の基調講演に登壇した際、壇上の真っ白なスクリーンには「人工知能(AI)を誰にとっても役立つものに」という言葉が大きく映し出されていた。同氏は、世界中の情報を整理するという同社のミッションを推進する上で、この考え方が最も良い方法だと述べた。
世界中の情報の大半は、快進撃を続けているGoogle検索エンジンをはじめとする、同社のさまざまなアプリやツールを介してやり取りされている。Pichai氏が同会議で述べたように、同社の製品のうち、20億人以上のユーザーに利用されているものは6つに上っている。その情報のかなりの部分を占めているニュースは、世界を股にかける出版社から小規模な新興企業に至るまでのさまざまな組織で働く膨大な数のジャーナリストやライター、コンテンツ制作者のほか、さまざまな雑誌に代打で記事を提供するフリーランサーや、地方紙でスキルを磨いている記者見習いによって執筆、提供されている。
Googleは、AIを導入することでこうした人々を支援できると確信している。しかし、AIはジャーナリストが必要としているものではない。また、報道の世界への同社の進出は、読者にとっても懸念すべきことになる。
The New York Times(NYT)が匿名の人物からの話として報じたところによると、Googleは「Genesis」という開発コード名で、「現在起こっている出来事などの情報を受け取り、ニュースのコンテンツを生成できる」ツールを開発しているという。Googleは既にNYTやThe Washington Post、The Wall Street Journalを傘下に抱えるNews Corpといった組織にアプローチしている。Googleがニュース収集ツールとしてGenesisを採用するよう働きかけているのか、あるいはその開発協力先を探しているのかは明らかになっていない。
筆者はGoogleに本記事へのコメントを求めたが、回答は得られていない。
Googleの広報担当者は米国時間7月20日、米CNETに対して「こうしたツールは、記事の報道や、作成、ファクトチェックといったジャーナリストの本質的な役割を奪うことを意図したものではなく、そうした能力も持ち合わせていない」と語ったが、NYTの報道が示唆している同ツールの説明はまったく異なっている。NYTによるとGoogleのGenesisに関する働きかけを目の当たりにした報道機関の幹部らは「不安を感じるものだ」と表現したという。同広報担当者によるとGenesisは、「見出しの選択肢や、異なった執筆スタイル」を提供することで一部のタスクを自動化するツールだという。