国産セキュリティ企業として成長目指す–サイバーセキュリティクラウド

今回は「国産セキュリティ企業として成長目指す–サイバーセキュリティクラウド」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)サービスなどを手掛けるサイバーセキュリティクラウド(CSC)は、4月1日付で代表取締役CEO(最高経営責任者)に小池敏弘氏が就任し、代表取締役CTO(最高技術責任者)の渡辺洋司氏との共同代表体制となった。国産セキュリティ企業として成長を目指すという小池氏と渡辺氏に、展望などを聞いた。

 新任の小池氏は、2006年にリクルートHRマーケティング関西(現リクルートジョブズ)に入社し、2016年に米国シリコンバレーでチャットボットを開発する企業のCOO(最高執行責任者)に就任。2018年には企業の合併・買収(M&A)の仲介サービスを手掛けるALIVALを創業し、代表取締役に就任した。2020年にALIVALの売却を検討する中でCSCに出会い、CSCの経営への参画を要請されたという。

 同社は、クラウド型のWAFサービスの「攻撃遮断くん」、WAF運用代行サービスの「WafCharm」、Amazon Web Services(AWS)およびMicrosoft AzureにおけるWAFの運用代行サービスと、WAFを中核とするセキュリティサービスで事業拡大を図ってきた。2020年2月に東証マザーズに上場し、同年12月には脆弱性管理やウェブセキュリティ診断などを手掛けるソフテックを買収した。

 新体制では技術領域を渡辺氏が、技術以外の領域を小池氏が担当する。小池氏は、技術畑の出身ではないものの、リクルートHRマーケティング関西時代にIT製品の調達業務を担当したという。「セキュリティビジネスの経験はないが、いわゆるユーザー企業の立場で製品導入時にセキュリティ要件に携わったり、ALIVALではM&Aにまつわる機密情報を扱ったりしていた。その経験を生かしたい」(小池氏)という。

社長はセキュリティにお金をかけたくない

 小池氏のミッションは、WAFサービスを中核にした国内セキュリティ事業のさらなる拡大と海外市場への進出になる。

 小池氏は、「大企業を除けば、まだまだサイバーセキュリティの重要性が日本の隅々の企業にまで浸透しているとは言い難いと感じている。セキュリティ意識を広めることが大切」と話す一方、「CSCに参加する以前の経営者の立場では、セキュリティにお金をかけたくないという感覚だった」とも述べる。

 サイバーセキュリティのビジネスでは、攻撃者の恐ろしさや情報漏えい事故などの被害といった危機感や恐怖心に訴えかけるマーケティングメッセージが飛び交う。それ故に、セキュリティ投資に後ろ向きの雰囲気を醸成しているとの指摘も聞かれる。小池氏は「セキュリティが大事だと分かっていても被害者になるまでは対岸の火事という感覚だろう。そうではなく、今注目されるSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)経営のように、セキュリティの取り組みが企業価値を高めることだと呼びかけたい。当社には(後ろ向きのセキュリティ対策意識に)風穴を開けられる力がある」と話す。

 小池氏の参画により渡辺氏は、サービスや製品、新技術の開発や導入検討といった本来のCTOの職務に専念できるようになった。渡辺氏は、ビジネスの成長と技術開発のペースを合わせづらくなるなどの課題を抱えていたという。

 「グローバル市場への進出でも、AI(人工知能)などのこれからのセキュリティに欠かせない技術を獲得しなければならない。WAFでウェブシステムを守ることに加え、“健全な”サーバー環境を守るということを目指しており、ソフテックの技術を生かしていく」と渡辺氏は述べる。

グローバル進出の布石も

 小池氏は、就任して間もないことから、2021年度も引き続き国内ビジネスのさらなる成長を最優先事項に挙げる。加えて、グローバル展開への足がかりも築きたいと話す。2020年末に、前代表取締役社長の大野暉氏がグローバル展開に専念するため退任しており、まず米国市場への進出を目指す。

 「日本発のIT製品の海外展開はなかなか難しいが、シリコンバレーでチャットボットを開発していた時の経験から日本のやり方にこだわってうまく行かないことを知っており、海外ビジネスをしていく方法を準備していくことになる。セキュリティ製品は、他の分野に比べて言語の壁といった制約が少なく、海外のニーズをくみ取りながら製品を提供していきたいと考えている」と小池氏。渡辺氏も、「米国市場で受け入れられる技術や製品のコンセプトなどを吟味していく」と話す。

 WAFを主力に成長してきた同社だが、2021年度はこうした取り組みにより売上高で50%増、営業利益で130%の成長目標を掲げる。両氏は、中長期的な経営方針としてもサイバーセキュリティにコミットするとし、「日本発のセキュリティソフトメーカーとしてグローバルで成長していく」(小池氏)と意欲を示した。

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